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誤字・脱字等あればコメントで……。
walia
~ウォリア~
六竜伝説冒頭
「昔、大陸に一匹の竜が住んでいた。竜は寂しかった。彼はこの広い大陸で一人ぼっちだったから。
人々は海に面した土地に住んでいた。人々は苦しかった。この土地には何もなかったから。
竜は人々が羨ましかった。彼らには仲間がいたから。
人々は竜が羨ましかった。彼ならどこへでも自由に行けたから。
竜は寂しさを紛らわすため、自分の体の一部と周りにあるもので自分と同じ姿をした人形を作った。 自分の仲間を作るつもりだった。
一つ目は、土を土台に自分の爪を埋め込んだ。自分より、土を掘り起こすのに便利な爪を持った竜を作るため。
二つ目は、木を土台に自分の角を埋め込んだ。 自分より、高い木の上にも届く角を持った竜を作るため。
三つ目は、自分の翼の膜の一部を切り取ってそれに風を集めた。 自分よりも高く、長く飛べる翼を持った竜を作るため。
一度彼は疲れて川の水を飲みに行った。その水面に写る自分の姿を見て、彼はもう一つ人形をつくることにした。
四つ目のそれは、自分の片目を抜き取って、川に落とした。どんな濁った川の水も見通す目を持った竜を作るため。
片目になった竜は四つの人形を自分のそばへ持ってくると、それに呪文をかけた。すると、人形が序所に大きくなり、やがて動くようになった。 竜は喜んだ。自分にも仲間ができたことを。
その後、作られた4つの竜は思った。一人ぼっちで寂しい竜に、自分たちを作ってくれた竜に恩返しをしようと……。
土の竜はすぐさま、植物が生えられるような土地を大陸の全土に作った。木の竜はそこに食べられる植物や、色鮮やかな花を生やした。水の竜と風の竜は、協力して雨を降らせ、大地を潤した。
人々は喜んだ。住む家や食べ物が手に入ったからだ。それが竜のおかげだと知るやいなや、一人ぼっちで寂しかった竜の所に、たくさんの人がやってきて、お礼を言った。それから毎年、決まった時期に人々はやってきて、竜を崇めるようになった。
竜は嬉しかった。もう一人で寂しくなんかなかったから。
人々は幸せだった。豊な暮らしを築けたから。
やがて竜は、人々のためにもう2匹の竜の人形を作った。
一つは自分の牙に熱い火の息を吹きつけた。人に暖かな暮らしを与える竜を作るため。
もう一つは自分のうろこに雷をため、金属の土台に埋め込んだ。人に身を守る道具を与える竜を作るため。
2匹の竜は前の4匹のように、すぐ様人間達に恵みをもたらした。
火の竜は人々に火と言うものを教えた。食べ物を焼くということも教えた。
雷の竜は身を守るための金属を教えた。その金属で農具を作ることも教えた。
人の暮らしは豊かになった。誰も苦しくなかった。6匹の竜は4匹の動物を神霊に変え、、それぞれ国を作れと言った。そこで自分達に代わって、人々を守れと……。
こうして大陸には4つの国が誕生した。
北には大地をしっかり踏みしめ、支える玄武。
西には風のように平原や山を駆ける白虎。
南にはその輝く翼で、国を照らし飛ぶ朱雀。
そして、東には竜の子孫、雲を呼び、雷を起こし、雨を降らせる青龍。
人々は暮らした。4匹の神霊を主に、竜を崇めて。
竜は喜びの雄叫びを上げ続けた。光が照らす広い大陸と、平和を歌うため。
平和は続く……長く、長く……」
プロローグ
ここは竜の国。大陸にある4つある国の一つだ。 と言っても4つあった国も、今は3つになっていたが……。ある国が一つの国を滅ぼす形で吸収したために、一つの国が消えてしまったのである。ではなぜそうなったのか……。そんなこと誰も知らない。気付いたら世界はこうなっていた。生まれた時からそれが普通になっていた。もう誰も、竜の話なんて信じない。竜の話なんて吹っ飛んでしまうほど、大事なことが今の世の中には多すぎたから。特にそう、こと戦争に関しては……。
人々は争うようになっていた。他人を憎み、羨み、悪意を育てるようになった。だから人々は戦った。もう誰も、昔いた竜のことなんて忘れてた。
これはそんな国で、昔から国を守る役目・戦士になろうとしている少年少女の物語である。
次回は第一章 竜の国 第一話。