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とりあえず、何か書かなければとは思ったものの、自分の完全オリジは微妙に気に喰わん。ってかまだ書けてない(笑
って事で、昔書いた、紫陽花にあげたキャラの話を書き直してあげてみます。
まぁ、彼女の書く本編とは微妙に設定が違うよ! って部分も多々あるとは思いますが、俺はパロ作家だという事でどうか一つ(苦笑
あの感覚は今でも鮮明にこの胸にある。
それまで見ていた景色がすべてモノクロで、目の前に突然極彩色の色が付いた様な。そんな、甘く淡いそれでいて鮮明な感覚。
目に見えるモノすべてが美しく、が恐ろしく想え、そしてそれまでのモノすべてが恐ろしく、しかし懐かしく想えた。
「繋がりが、消えた」
思わず洩らした様な兄の声に、振り返った。
兄は、血に染まった両腕を掲げ、厚い雲に覆われた空を仰いでいた。
その腕は、微かに震え、濡らしている赤い血液がゆっくりとつたって落ちていく。
「兄者……?」
「呪縛が、消えた」
周りには、自分たちが先ほどまで相手をしていた敵国の戦士達の死体と血と肉片と。
「……兄」
「あぁ……ヒース。そなたもか……?」
ゆっくりと、紫紺の瞳がこちらに向けられ、その時始めて、兄が泣いている事に気がついた。
ポツリ
頬に水が触れる感触と共に周囲の木々の木の葉が次々と鳴り始めた。
兄の手を、顔を、体を、ゆっくりと濡らす雨は、まるで兄の涙に呼応しているように、体を、そして心を濡らしていく。
「どういう事…です?」
ようやく絞り出せた声は、自分でも驚くほど掠れていて。
「……そなたも、泣いている」
厳かに、言い聞かされるようなその言葉に、嘘偽りはない、と自分でも解ったはずなのに。
「何を…戯れ事を」
雨に頬を濡らしながら。
「私は……御影の名を冠する影の奴隷。奴隷に、涙はいりません」
口から出たのは、自明の真実。
「……相変わらず、嘘が下手だな」
スゥ……っと笑った兄の頬に、もう一筋、涙が流れた。
その姿は視界の中、微量にぶれていた。