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久々更新。ただし、話はあまり進んでいない(おいっ) 最近、何もかもに手がつけられない状態で……。 ゲームのせいで……。そして学校への道のりを邪魔するあの巨大な坂さえなければ、僕はこんなに疲れて学校から帰ってきはしない! あんな坂なくなればいいのに……。
愚痴とかはここぐらいにして、続きいきましょう。 ……黒巳とかは……名前の由来とかまで書いててすごいなぁ~。
竜の国は、比較的穏やかな国だ。 その中で国のほぼ中央を流れるリュウト川(先ほどまでディアンとデビがいた川辺の近くにある川)の周りに作られた町、リュウトシティは、竜の国の首都にあたる町である。 人口は結構多く、住宅街や商店街なども大小含めて多数ある。 ただし、この国の趣旨として、「自然との共存」があるためか、さほど都会というイメージは受けにくい町並みが並んでいる。補正された道路が町中に広がってもいるし、小さな工場のようなものもありはするが、基本的に緑の多い町、それがリュウトシティなのである。
そんなこの国には、いや、この国と大陸を通じて向かい合う国々にもだが、ある変わった学校が存在している。
「ただいま~」
あまり大声をださず、比較的小さな声で家の扉をあけたディアンは、ゆっくりとまるで忍び込むかのように家の中に入った。 リビングやキッチン、二階の兄と自分の部屋をそっと確認してから、ホッと一息つく。
誰もいなくて良かった。といっても、いた方がびっくりするのだが……。
「兄ちゃん帰ってないし、ぱっとシャワー浴びて服は洗濯機の中にでも入れと……」
「随分早い帰りだな、ディアン」
「! ! !!」
そんな風に後の計画を言いながら、洗面所へとやってきたディアンは、誰かが洗面所から出てきたので、驚いて後ずさりした。
「なんだよ、兄貴から逃げるのか?」
「に、兄ちゃん……。 か、帰ってたの?」
「なんだよ、帰ってちゃだめなことでもあるのか?」
ふんと少し後ずさりされたことに不満があるのか、ディアンの兄、守元 リーズは、不機嫌そうに鼻を鳴らす。
守元 リーズは二十一歳。 ディアンとは九つ離れた実兄だ。 ディアンより少し濃い黄色をした髪に、濃い青い瞳、雀斑のついた顔をしている。言い忘れていたが、ディアンの瞳は、薄い水色のような色で、リーズとは対照的に、全体的が薄い色をしていると言っていいだろう。
リーズが不満そうなのを見抜き、ディアンはどうしようかと迷った。今、汚れた服や靴下のことを見つけられたら、あまりよくないことが起こりそうな……。
「ん? なんかズボンの裾、汚れてるな。 どうしたんだ、それ?」
「あっ、こ、これは……! そ、そのこ、転んだ!」
とっさに思いついたうそをついてみる……。が、リーズの目は冷たい。そして、そんなこともうお見通しだとばかりに、リーズは呆れ顔で言った。
「まぁた、こんな服を汚すような遊びをやったな。 たく、誰が洗濯すると思ってるんだ……」
「だって、遊んだら汚れるんだし、しょうがないじゃん……」
「じゃ、ディアンに洗ってもらうか」
「えぇーっ?」
「たまにはいいじゃないか」
いじわるっぽくリーズは笑うと、ま、とりあえずシャワーを浴びて来いと言ってサッサとリビングへと消えていってしまった。
お湯のはられた湯船につかり、ディアンは鼻歌を歌っていた。
リーズの機嫌が妙に良かったのには、理由があるのをなんとなく知っているので、それはそれでいい。 怒られずに済むほうが、うれしいに違いないし、自分で洗濯ぐらいはできる。
問題は……、あの理科の宿題だ……。 明日の入学式までに、どうにかしないと……。
ディアンはポォ~と明日の様子を頭の中で思い描いてみる。 たぶん、入学したらすぐ班が割り振られて、大事なものとか渡されて、憧れの戦士になる道具とかも渡されたり……。
将来、大物の戦士になった自分の姿を思い浮かべ、ディアンは思わず笑みを浮かべた。
明日は夢のための大事な一歩を踏み出せる日だ。 「戦士教育学校 戦士教育部」。 明日の入学式を終えれば、もう「普通部」のときとは違う、楽しくてエキサイティングな日々が待っているはずだ。
ディアンは再び鼻歌を歌いながら、湯船から上がり、体を拭き始める。 洗面台の鏡に映った自分の姿を見て、背が伸びているか確認をし、服を着た。
ディアンの一番の悩みは「背が低いこと」だ。 よって毎日、鏡を見ては、ちょっとでも背が伸びていないかと、確認をせずにはいられないのである。
そして、ディアンのもっている夢というのが……、「この国の英雄になる」ということ。 「戦士教育学校」は、この大陸に普通に存在する小学校や中学校の名前である。 そして、ディアンの夢を叶えてくれる最初にして最後の施設なのだ。
なぜに「戦士」なのか……。 そもそも「戦士」という存在はなんなのか。
それをディアンは、幼い頃に読んだ絵本や時折読む武勇伝でよく理解している。 昔、この大陸の全土にはたくさんの魔物や、化け物と呼べるものがいた。それを追い払う役目にあったのが戦士である。 やがて、どうしてだか、人間同士で戦争が起こり、その兵士として戦士は戦い始めた。 戦争では多くの戦士が命を絶ったと言われ、今では戦士というのはもう「兵隊」と同意であると取られている。
が、ディアンがなりたいのは、「兵隊」のような「戦士」ではない。
「人を助ける戦士」になりたいのである。 ただ戦って、死ぬのではなしに、「大切な人を守るため」に戦士になりたいのである。 かつて、自分の父親がそうであったように。 自分の兄が、今もそうであるように。
「おっ、上がってきたか。 なら、服を洗ってこい。 自分でできるよな?」
「できるさ」
濡れてしまったタオルを、小さな庭にある物干し竿に干してから、ディアンはリーズにそう言って、再び洗面所へと引き返した。 服を洗濯機の中に入れて、洗剤と柔軟剤を入れて、スイッチを押して……と、一連の操作をして蓋をする。 あとは、洗濯機が止まるのを待って、干せばいいのだ。
「なぁなぁ、兄ちゃん! 今日はなんかやったの?」
「ん? もう回せたのか。 早いな……」
「そんなんいいから、何したのか教えてよぉ。 今日はどんな任務に行ったのさ?」
「フフン、そこまで言うなら仕方がないなぁ~。教えてやろう。 今日は、なんと景山までお使いに行って来たんだ」
「えぇ~、ただのおつかいぃ~?」
偉ぶったようなリーズの口ぶりに一度は期待したディアンだったが、その次に出た言葉にがっかりしたように口を尖らせた。
「なんだよぉ、もっといい話聞けると思って期待したのにぃ~」
「なっ。ちゃんと話も聞かないで、なんでそんな事言うんだ! 最後まで人の話は聞けって言ってるだろ!」
「むぅ~」
頬を膨らませるディアンに、リーズも苦々しい顔で応じ、「んで」と話の続きを始めた。
「おつかいの帰りに、妖魔に襲われてな。 でっかい顔面は牛みたいな変な奴だったよ」
「お~! で、で、どうしたの?」
「もっちろん、そこは俺だからなっ。 こうパッと動いてザンッと斬りつけてやったさっ! さすがの妖魔も一瞬で逃げ出したね!」
夕食の食材である人参を言葉に合わせて、空中で華麗に切って見せながら、リーズはやや興奮気味に弟に語る。 当の語られている本人、ディアンはキラキラと目を輝かせて、それを聞いていた。
これぞ、まさにオレがなりたいもの、そのものじゃないか!
「すっげ~なぁ~、いいなぁ~、兄ちゃん。 かっこいい!」
「だろだろ? 戦教一の上戦の俺にかかれば、なんでもか~んたんにできるっ。 !」
言葉の途中でリーズは一度包丁を置いて、左手の指をマジマジと見始めた。 いったいなんだ?と首をかしげるディアンに背を向け、リーズはゆっくりとしゃがみ込むと「つ~っ」と呻いた。
「? どうしたんだ? 兄ちゃん」
「……余所見してたから……、指、切った」
「……兄ちゃん、かっこ悪い……」
「言うな。 何も言うな! へこむから言わないでくれ!」
キッチンを離れ、救急箱を取りに行くリーズの背を見ながらディアンは呆れたようにため息をついた。
こういうことがなきゃ、本当にかっこいいのになぁ……。 戦士だから。
ディアンにとってのかっこいいか、そうでないかはどうやら戦士であるか否かが、最大のポイントらしい……。
「あぁ~あ。 まったく。 こんな指でビーズとデートだなんて、全くついてないよ……。 あっ、そうだ、ディアン。 今日の晩のことだけど、言ったっけか?」
「言わなくてもいいよ。 ビーズさんと出かけるんだろ?」
冷蔵庫からリンゴジュースの入ったパックを取り出しながらディアンはサラリと答える。 よくあることなので、はっきり言ってどうでもいいのである。
「なら、いいさ。 夕食は作ってから行くし。 なんならデビのとこに行ってもいいけど……」
「いいよっ。 もう晩飯作り出してるんだろ? 明日もあるし、早めに寝るからさ」
「あぁ……。 そうか……、いよいよ明日かぁ……」
口元に笑みを浮かべながらリーズはカレンダーの方へと目を向けた。それの明日の日付に、大きく様々な色で丸がされているのを見て、言わなければならないことを思い出した。
「お前の夢の第一歩なわけだ。 ……おめでと、ディアン」
「うん」
にっこりと答えてから、ディアンもカレンダーを見る。 今月の隣にある来月の欄にも、大きな二重丸が書かれていた。
「父さんや母さんには自分で報告するだろ? っていうか、そうしたいよな?」
「あったりまえじゃん! 今日にでも簡単に報告するつもりだよ!」
「ハハハ、そうだよな! 相変わらず、せっかちだなぁ、お前。 ま、いいや。 ……デート行く前に渡しといた方がいいな……」
リーズの言葉にディアンは不思議そうな顔をして振り向いてみた。何かをくれるなど、言っていなかったからだ。そもそもリーズは、ディアンにあまり物をくれることをしない。 自分で責任を持って買えというのが、守元家の古くからの伝統だった。
「ほら、これ。 お守りにな」
小さな布の袋からリーズは何かを取り出すと、それをディアンの手の上に乗せる。 黒い紐につながっていたそれは、宝石の欠片のようなものだった。 実際に宝石かどうかは、今の時点のディアンには分からない。 ただ、濃い緑に時折点々と入った黒い模様、そして光に当たるとキラリと光る物だったから、人目みて宝石だと思ったのである。
「……宝石?」
「よく分かったなぁ。 そう、それは翡翠っていう宝石だよ。もう最近は少なくて、結構高いんだぞぉ~。 でも、ディアンにとって明日は大切な日なんだし、奮発してみたんだ」
グッと親指を立てて笑うリーズに、ディアンは黙って頷くと再度もらった宝石を見つめてみる。 電球の明かりに照らされた宝石は、キラキラと輝いていた。
「ありがと、兄ちゃん! オレ、絶対これ大事にするよっ!」
「喜んでもらえて何よりだ。 兄ちゃんも嬉しいぞぉ~」
早速首からそのお守りをぶら下げてみる。 一度服の上にたれさせておいてから、今度は服の中に入れてみる。 ひんやりとした宝石が、肌に直に触れて気持ちいい。
しまう時の子袋を渡されてから、ディアンはキラキラと輝かせた目をリーズに向けて、一気に二階に上がって行った。 自分の部屋のドアを、勢いよく開けて、棚の上に飾ってあった写真立ての前へと直行する。
「父さん、母さん……義兄さん! 俺、やっと戦教に入れるよ! 明日! 明日から!」
二つ立てられた写真立てに向かって、ディアンはそう言うと大きく万歳をして部屋中を駆け回った。 嬉しそうな声が、家中に響いている。 洗濯機が止まったということを、知らせる音よりも大きなその声で、ディアンはただ叫んでいた。
「やった! やった!」
ずっと響くその声に反応するかのように、二つの写真立てに飾られた写真の中で、父母と義兄はにっこりと微笑んでいた。
長くてスマヌ……(汗 字がおかしかったりとか、話の流れ的におかしいとこあればまた教えてくれ。