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あんまりにも色々ぎりぎりなんで、クラスメイトに心配された。「土日なら私クラブで学校来てるから」パソコンを使って調べるやり方をまだ教わってないと言ったらこう返された。それはあれか、土日に学校出て来いってことか。片道二時間かけて…。行きませんでした。通学時間がもったいない。家にこもってレポート作成中。手書き派です。
サフとノルンは、黒の魔術師と白の魔術師と思って作ったからか、対比させたくなる。
・サフは伝統的、儀式的な魔術が得意。行使するのに準備やら何やら時間掛かるけど、持続的、永続的効果を持つ。ノルンは即効性を持つ魔術が得意。ぱぱっと使えるけど効果は一瞬。一回限り。
・サフは感覚を掴む為に理論を詰め込むタイプで、ノルンは先に感覚ありきで理論を詰めに使うタイプ。
・サフは文系。理屈っぽくて情感豊かな文系。ノルンは理系。感覚で数学やっちゃうタイプの理系。
・どちらかに分けるなら、ノルンは才人タイプでサフは賢人タイプ。
後最近どうでもいい設定を作ろうとうだうだしています。イメージソングとか決めたいのだがなかなかしっくりくるものがありません。サフは「Danny Boy」と「春の夜に」かなあと考えたが、えらい母性愛溢れる曲なので、もう少し違うのを考えたいところ。ノルンは「Bridge over troubled water」とか。歌詞というか、この曲を歌ったら似合う感じかな。もともとこういうのに使えそうな曲を聴かないので、手持ちがない。
「友達だったんだ。あいつは―トルカは」
漸く涙も治まってきた頃、まだしゃくり上げながらも、真っ赤な目と頬をしたラキは、そう言って話し始めてくれた。彼がここに来るまでに見たもの。逃げようとした、その目的も。
―――村がおそわれて、子供はみんな馬車に押し込められた。それからずっとそこから出してもらえなくて、そのままほうっておかれた。最初は泣いたり暴れたり、励まし合ったりしたけど、みんなだんだん元気をなくしていった。
真っ暗な中、わずかな光だけをたよりにして、昼と夜を数えることに意味が感じられなくなって、どれだけ経ったか分からなくなった頃、オレたちは外に出された。
反抗する気なんか、すでにとっくになくなっていたオレたちを、さらに逆らう気が欠片もおきないようにと、徹底的に従うことを強制するために、やつらがしたことを、オレは絶対に許さない。
それは、生け贄。
見せしめという名目で、みんなの前でぼろぼろになるまで痛めつけられる。
やつらにしてみれば、それは誰でもよかったんだ。運の悪いやつが、一人だけ、適当に選ばれる。
トルカは運が悪かったんだ。
トルカはオレの友達で、最後までみんなを励ましてた。オレなんかより、よっぽどしっかりしてて、心が強くて、オレはトルカに助けられてた。オレだけじゃないと思う。それがやつらには目ざわりだったのかもしれない。あいつはくじけなかったから。
トルカは運が悪かったんだ。
選ばれた人間は、簡単に死ぬことも許されない。その最期の、ぎりぎりの時まで、苦しんで、うめいて、そして死んでいく。
トルカは運が悪かったんだ。
でも、そんな言葉なんかで、終わらせることなんて、できるわけないだろう。
目を閉じたり、顔をそむけたりすると、容赦のない一撃がとんできた。しっかり見ろと、目に焼き付けて忘れるなと。忘れるわけがない。オレたちにかろうじて許されたことは、涙をおくることだけだった。棒でなぐられて、気絶することが、一番楽な道だということを、やつらは分かっていたから、そうさせない程度には手加減された。
トルカがいつ死んだのか、オレは知らない。だんだん、あいつの体から力がぬけていくのが、見ていて分かった。自主的に動かすことなんてかなわない体は、反射的にはねるだけだった。
泥だらけになって、地面に転がるあいつの体を、いつまでもしつこく傷つけていたやつら。その中のひとりが、トルカの顔をけって、それがこっちを向いたんだ。
その時になってようやく、オレたちはトルカが死んでいたことを知った。
半開きの、にごった目。血と泥で固まった髪。だらしなく開いて、砂利の入った口から、舌が出ていた。たくさんの切り傷やみみずばれで体は飾られ、顔ははっきりしなかった。手足は、いくつか欠けたその指の一本いっぽんまでおかしな方向を向いて、はぎ取られた爪とか、むしられた髪とか、トルカの体の一部だったものが、そこらに散らばっていた。
見ている途中で、恐怖から気を失うやつはたくさんいた。ただオレは、最後までそれを見ていた。
もう死んでいるあいつの体を、それでもしつこく痛めつけるやつらを見て、絶対に許すものかと誓った。
家族の死を見たときには、ぬぐいもせず流し尽くした涙を、呑み込んだ。だから視界はずっとあざやかだった。
涙も、それに使う力も、費やす時間も、全てを怒りに変えて、やつらに復讐してやると誓った。
「だからオレは、ここから出て、やつらを見つけて、復讐してやろうって……」
ラキから聞いた話は、私を愕然とさせた。
そんなことが行われていることを、私は知らなかった。なんてことだろう。
「ほんとは、最初から分かってたんだ。おまえのせいじゃないってことぐらい。お前が、オレたちに呪をかけたわけでも、それに関わったわけでもないって」
「でも、私がここにいるということは、その内、誰かに呪を掛けるということですよ」
静かに、私は事実を告げた。
「そんな、先の可能性を理由になんかできるかよ。分かってたんだ。でも、認めたらダメな気がしてた。憎まないとダメだって。何か一つでも、認めて、許してしまったら、全部がダメになる気がしてた」
私の腕の中、少し身体を離してうつむいて、ラキは私を許す言葉を告げた。けれど彼の心はこの瞬間にもまだ血を流し続けているのだ。
「ラキ。今でもまだ、復讐をしたいと思っていますか?」
「当たり前だろ!!」
私の言葉に、ラキが勢い込んで返事を返した。
「それは、何故ですか」
「やつらが憎いからだ。トルカにあんなことをしたやつらを許せないからだ」
迷いなく紡がれる言葉。けれど。
「では、あなたが復讐をしたいと言うのは、誰のためですか」
「トルカのためだ!」
まっすぐに、宣誓のように放たれる言葉。けれどそれは……。
「ラキ。本当にそうですか」
「?なにがだよ」
「本当に、死んだ人の為に復讐をすると、言っているのですか」
「…………どういう意味だよ」
「確かに、彼らのやったことは許せないでしょう。けれど、死んだ者の為に復讐なんてして、それで本当に何かになると思っているのですか」
「………………!!」
「死んだ人の為に何をしても、それはその人のためにはなりません。それでも死んだ人に義理立てしたり、埋葬するのは、その人に対する自分の気持ちを整理するためです。お墓も形見も復讐も、全部、生きている人間の為のものです。─ラキ。貴方は、その子の為に復讐をするのではないはずです」
きつい、言い方だったかもしれない。けれどやつらを許せないと言った、その主語は、ラキ自身なのだ。
死んだ人間はもはや何をしても、喜びも悲しみもしないし、蘇りもしない。その人のやり残したことをやり遂げ、跡を継ぎ、教えを守るのは何の為か。その人の為と口に唱えながら、やり遂げるのは生きた人間なのだ。
「で、でもっ。オレは、やつらに復讐するって、決めて!だって…だって、トルカに…っ!……トルカに、オレ……」
焦るように弁解するように、急いで動かしていた唇を、ラキはそこでぐっと噛んだ。
「……おまえの、おまえの言うとおりだよッ。オレは、あいつに助けられたのに、なにもしてやれなかった。だから、せめて……」
「私は別に、それが悪いことだと言っているのではありませんよ」
「オレは、どうすればいいんだよ。あいつが何を望んでたかなんて、オレは知りやしないんだ」
そう呻くラキは、迷子になった子供そのものだった。必死で正しい答えを探している。見失った道の、標を見つけようとして。
けれど私に出来るのは、道を教えてやることじゃない。限られていない道を、見せてやることだけだ。
「何かをしろと、貴方に言うつもりはありません。貴方が復讐をしたいと言うのなら、それも良いでしょう。けれど、貴方が貴方の為に生きても、責める人はいませんよ」
「でもオレは、あいつに何もしてやれなかった。あいつだって、死にたくなんかなかったはずだ。それなのに、オレは、助けてやることが出来なかったんだ」
顔を歪ませて、今にもまた泣き出しそうになりながら、震える声でラキが訴える。それを見て思った。
ラキ、貴方がしたいことは復讐なんかじゃなくて。
ただ、復讐することはその代わりでしかなくて。
多分、貴方が求めているものは。
「ラキ。私が許します。貴方が彼を助けられなかったことを、悔やむ必要はないと思いますよ」
ずっと許してほしかったのじゃないですか。助けられなくてごめんと、謝りたかったのではないですか。
だけど彼はもういないから。復讐をすることで、自分の中の罪悪感に、罪滅ぼしをしようとしていたのでしょう。
それなら、私が代わりに貴方を許します。それは罪などではないと、私が貴方に言います。
「……また、許すって言った。あまいって、言ってんのに……」
しゃくり上げながら、ラキは再度私にしがみついてきたので、その顔は伺えなかった。もう一度受け止めたその熱は、涙と一緒に何かを流しているようだった。
次回で最後です。