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紅露と黒巳と紫陽花のオリジナル小話不定期連載中
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 最近、なんやかやとやらなければならないことがまとめてやってきて、ごたごたしております。来週は更新できないかも。ってか、本当は今もこんなことやってる場合じゃないんですけどね、本当は。なんかすっかり「ぎりぎりまでさぼり癖」がついてしまった今日この頃であります。

 名前由来も書き終わって、ネタがないので、今回からは、ちまちまと作っている途中の彼らの設定とか書いていこうかな。
 家族構成、ラキは一人っ子。お母さんとお父さんとおじいさんとおばあさんと住んでました。おじいちゃんっ子かおばあちゃんっ子な気がする。
 ノルンの家族は、現在は行方しれずな弟ヘルくんと、母親。失せもの探しの魔術とかも有るんですけど、奴隷には、奴隷呪文が掛けられているため、他の術が影響できないようになってます。ので探せない。(サフは奴隷呪文そのものを一時的に乗っ取る形を取ったので、別の術を使ったわけではないです。)母は首都からちょっと離れた町で暮らしております。ノルンは時々様子見に行ってるけど、基本的に放任主義な親だったこともあって、すっかり巣立ってる。仕送りとかはしてます。
 サフはお兄さんが一人います。次男なので、親の期待はさほど掛からず、しかしプレッシャーだけはしっかりあった。家の中ではほとんど一人。家族との縁は三人の中で一番薄い。ある程度の年になってからは、学院入るまで師の元にいたってことにしようかと考え中。用事がなければ家には帰らない。そんなわけで卒業した今も、家には戻らず一人暮らし。因みにお兄さんの名前はウェイランド。本編に出ることになれば、弟にはとても冷たい人になりそうです。親は基本的に無関心。お兄ちゃんは冷たい。そら家には帰りたくないでしょう。

 いつの間にか眠っていたようだ。ベッドから上半身を起こすと、脇にノルンが腰掛けていた。
「やあ。目が覚めたかい、サフ」
 そう言って、白々しい笑顔を向けてきた。
「ノルン………。これは何だい?」
 言いながら、枕の下からそれを取り出して見せてやる。見なくても分かっているだろうが。
「おや、ばれたか。さすがはサフだ」
 全然悪びれずに言うところが彼らしい。
 それは、紙に描かれた呪文。穏やかな、安定の色の緑で描かれたそれは、眠りを誘う物。ノルンのオリジナルだ。
「ノルン。何でこんな物を…」
「君が疲れているようだったからね。僕からのささやかなプレゼントさ」
「そんな、私のことより、ラキから目を離して…」
「大丈夫だよ。何かあれば、すぐに分かるようにしてある」
 呪を掛けてきたらしい。ノルンの掛けたものなら確実だろう。出来ることなら、こういうまねはしたくなかったのだが。
「それより、相当疲れているようだな。普段の君なら、僕程度の呪になんか、掛からないだろう?」
 お見通しらしい。何故彼には分かってしまうのだろうか。
「私はそんなに分かりやすいのかな?」
 だとしたら、ちょっとショックだ。声音にもその気持ちが表れてしまい、ノルンが苦笑する。
「いいや違うな。僕の感受性が豊かなのだ」
 ………。彼には悪いが、思わず考え込んでしまった。彼ほど周囲に影響されない者も、珍しいと思うのだが。
「サフ、これは本当だぞ」
「誰も嘘だなんて言ってないよ」
「だが、疑っているだろう」
 ……顔に、出ていたかな………。
「僕は昔、過去視をしたと言っただろう。それは、その場に残るものを、僕が感じ取ってしまったせいだ。最近でこそ、そんなことは無くなったが、組合に来たばかりの頃は、周囲の術のせいで、色んな影響を受けた。だから、僕がここに来てまず初めにしなければならなかったのは、自分というものをしっかりと持つことだった」
「なるほど。それで今の君が出来たという訳か」
「そうとも、すばらしいだろう」
「……そうだね」
 立派だと思う。自分をしっかり持つということは、とても大変なことだから。私はまだ、自分が本当にしたいことすら、見つけられていないのに。
「ラキは、どうなんだろう」
「うん?」
 ふと、思った。
「あの子は、ただ逃げ出すだけじゃなく、何かしたいことが有るみたいなんだ。それは何なのだろう」
 それを知りたい。ラキの求めているものを。そうすれば……。
「知ってどうするんだい?」
「………えっ?」
「知ったら、それを助けてやるのか。それとも知りたいだけなのか。君は、どうしたいんだ?」
 ノルンがいつになく真面目な声で訊いてくる。そうすれば、何だというのか。そもそも、何のつもりで彼を買ったのか。彼をどうしたいのか。私はどうする気なのか。それは、それは、私が………。
 …私が、望んだのは………。
「ノルン…」
 頭に浮かんだ暗い思いに、自然言葉も沈んだ響きを帯びてしまう。
「何だ?」
「私は、酷い奴なのかな」
「何がだ?」
「私は、彼に、…ラキに、自分を重ねていたんだ」
 そう、気が付いた。
 私は、幼い頃から全てを決められていた。必要な物も、進むべき道も、私の意見など聞かれたこともなく、そうして私自身、反抗することすら思いつかなかった。
 だけど、私はあの時ラキに会った。押さえつけられて、辿るべき道を押しつけられて、選ぶ権利など許されず。それなのに、諦めていない彼を見て、選んでほしいと思った。私には出来なかった、自分で自分の先を決めること。
 それは、初めての私のわがまま。私が、幼い私の心を慰めるためにしたこと。決して、彼の為なんかではなく。私のわがままだったのだ。
「私の小さな反抗に、彼を巻き込んだだけだったんだ」
 充分だ。あの子に嫌われても仕方がない。それに足ることを、私はしていたのだ。
 ようやく見つけ出した、“自分”は、何て自分勝手な生き物なんだろう。自分のしたいことが分からなくて、あげく他人に押しつけた。なんて嫌な、醜いもの。
「いいんじゃないか?」
「………ぇ……?」
 あっさりと、ノルンは肯定して見せた。
「君は元々自分を押さえ過ぎていたんだ。わがままが言えるようになったということは、自分が出てきたということだろう。それはむしろ、好ましいことだと、僕は思うがね」
 身体に掛かっていた重しが、少し、軽くなったような気がした。
「わがままが言えるということは、自分が望む物が有るということだ。…それに言っておくがな、世間では、それぐらいのことをわがままなどとは言わないぞ。わがままというのはな、あの子供のようなのを言うんだ」
「………それは、もしかしなくても、ラキのことなのかな」
「そうだとも。周囲のことを考えず、自分のことばかり主張したがる。まさに子供だ。その点をいくと、君は自分の言うことがわがままだと自覚したし、周囲に迷惑がかからないようにしようとしている。迷惑をかけることを、恐れすぎている気はするけれど。これは大きな違いだ」
 そう主張する彼こそ、子供のようにも、大人のようにも見えて、不思議な感じがした。
「買いかぶりだと、思うけれどね」
 彼の話では、わがままを言っているだけの私が、努力する人間に聞こえてしまう。
「そんなことはない。しっかりしたやつなんだよ、君は。僕なら、そんな風に自分を抑えたりなんて、出来ない。すごいと思うよ」
「ただ、自分が何をしたいか分からなかっただけだよ」
「だがもう違うのだろう?」
 そう言って、ノルンは笑って見せた。自信のある者が見せることの出来る、強い笑顔だった。
「……ノルン」
 何故、そんな風に言えるのだろう。どうして、こんなにも人の心を和らげてくれるんだろう、彼は。
「君の方がすごいよ」
「………真顔で言われると、さすがの僕も照れるな」
 一瞬驚いた顔をしてから、そう言って、彼は立ち上がった。
「さて、サフレイ君は元気になったようだから、僕はもう帰るよ」
「ああ、ありがとう」
「いいさ別に。僕が好きでしたことだし。僕は君のことが気に入っているからね。それに君は、僕の計画を誰にも話さないでいてくれたことだし。じゃあまた」
 心からの礼に、軽く笑って彼は部屋を出て行った。その耳が、まだほんの少し赤いことに、私は気づいた。


 
ノルンの最後の科白が非常に言い訳くさい。だって言い訳だから。計画云々はその場で作った理由だよ。
この話って、サフとラキだけじゃなく、ノルンとサフが親友になっていく過程の話でもあるんだよな、と今回書いていて気づいた。因みにノルンは大分最初の頃からサフを友人としてみてたけど、サフの方は、先輩→お隣さん→→友人っていう段階を経ている。今この段階の途中を書いていたのだなあ。

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