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紅露と黒巳と紫陽花のオリジナル小話不定期連載中
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 やらなきゃならないことが、二つ終わった~!…終わった……。後二つを急がなければ。でも残り二つだし!と思ったら、そのすぐ後にまた別のものが来る予定でした。なんで被るんだあっちこっち。
 今週は出来ないかもとか言いつつ、やって来ました。考えてみれば家では出来ないんですよ、後の二つは。   
 これが終わったら、ナルニア見に行くんだ…。とかつぶやいています。行けそうにない。

 設定、実はさほど出来ているわけではないのですが。と言うか、書きながら話の中で作っていったものが大半で、話の外で作ってる設定は、占いとかで決めたりしてるものも…。っていうか、そっちのが多いかも。
 と言うわけで、占いで作ったんじゃない設定。の脇にあった単なるメモ書きから。

・サフは、ノルンやラキみたいな、衝撃的な過去や、トラウマになるような経験はない。結局の所、彼はきれいな善人で、だから傷ついても立つことが出来るのだ。
ラキに対してノルンが言ったような台詞は、主張自体に否やを唱える以前に、サフのようなものには言えない。恵まれていたものがそれを言っても、それは単なる傲慢にしか聞こえないから。

・サフは料理が得意だけど、ノルンはあんまり。お隣さんなのを良いことに、よくたかりに行っている。まともに作れば、それなりに食えなくもないものが作れそうだが、持ち前のチャレンジ精神を発揮して、変なものを作る。しかもそれがセンスない。魔術においてはプラスに働くことが、料理ではマイナスにしかならない。因みにラキは、サフが料理上手いから、ジャガイモの皮むき以上のことは、これから先も出来そうにない。必要ない。

・と言うか、料理だけじゃなく、サフは一度はまったらちまちま続けていく人だから、その内ラッキーの服とかまで作り始めそうだ。

こんなとこか今回は。この話もぼつぼつ佳境ですが、細切れにしたせいか、きりのいい数字で終わらなさそう。
 

 夕食を作って持って行ったが、ラキは食べようとしなかった。なんだか酷く怒った様子で、あの白髪の奴はもう帰ったかと聞いてきた。ノルンのことだろうなと判断し、帰ったと言うと、それ以上はもう何も言わず、黙ってお膳を押し戻してきた。
 怒って、いらいらして、それから何かに悩んでいるようで。それは多分、逃走が失敗した所為だけでは無いように見えて。けれど私には、理由を訊くことすら出来なかった。私が訊けば、それはラキにとって命令となり、強制となる。それはしたくなかった。
 ――夜中、ふと目が覚めた。
 ラキだ。またうなされているのだ。
 途切れがちの低い声が聞こえる。それは意味をなさない呻きだ。ただ、聞いているだけで、ひどく悲しくなる。胸が締め付けられるような、痛々しさを含んだ声。
 それは私の知らないことだ。ラキに何があったのか、私は何も知らないままだ。
 ラキが話さないから、私も訊かない。そう決めた。そして彼が話そうとしないのは、私が、私達魔術師が、彼にとっては憎むべき対象だからだ。彼のその悪夢の原因が、他ならぬ私達に関係することなのだから、本人が望みもしないことを軽々しく訊くことなど、許されない。
 私がやったのではないからと、弁解する気もない。私は魔術師で、いつか、彼のような子供をたくさん作り出す為に、ここにいるのだ。そしてそれが、エムブラ家に生まれ、魔術師となるべく育てられた私の存在意義。いや、正しくは、“そう思っていた”のだ。今まで、ラキに会うまでは……。
 呻き声はおさまらない。
 急に不安になった。あまりにも胸に迫るその声に急かされるように、何かしないといけない気分になって、私は部屋を出た。向かう先は、当然ラキのいる部屋。
「ラキ?…入りますよ?」
 一応断ってから、そっと扉を開いた。開いたところから、細く、薄い光が入って、部屋の暗がりを割っていく。
 ベッドの上で、ラキは眉を寄せて、目を堅くつむって眠っていた。薄く開いた口からは、呻き声が漏れている。それは、酷く苦しそうで、とても悲しい何かを、我慢しているように見えた。夢の世界でも彼は苦しんでいるのだ。
「ラキ…。ラキ、ラキ!」
 このまま、こんな夢を見せたままではいけない。早く起こしてやらないと。そう思って、必死でラキの名を呼んだ。
「………あ…?トル……」
 ぼんやりと、ラキが目を開けた。まだ寝ぼけているようで、視点が定まっていない。
「ごめん、な………次は、きっと………」
 誰だろう。誰のことを言っているのだ彼は?ラキは、一体誰に謝っているのだろう。
「……ラキ?」
「……あ!?何だよ。なんでいるんだよ。何か用か?」
 目が覚めたようだ。顔をしかめて、いつものラキに表面上は戻っている。だがやはり、その顔にはどこか悲しそうな陰があった。
「いえ、うなされていたようなので。大丈夫ですか?」
「……だいじょうぶじゃねえ。だけど、お前には関係ないだろ」
 うっとうしそうに、舌打ちと共に吐き出された言葉に気付かされる。まただ。またやってしまった。大丈夫か、という呼びかけですら、彼には命令となるのだ。答えたくなくとも、それを強制される…。言葉を選ぶのは難しい。何と言えば、彼の負担にならないように出来るのか。
「…ラキ、我慢しなくてもいいですよ」
「はぁ?なにを?」
 何とか出した言葉に、ほっといてくれと言わんばかりに噛み付かれる。
「何かは知りませんが。何か、我慢しているように見えたので。辛いなら、泣いてもいいんですよ。……ああいえ、これは命令ではなくて、決して強制するものではなくてですね。もし、あなたが良ければ、という意味で。許可。ゆるしです」
 やたらと必死になって言葉を紡ぐ。どうしてこんなにも言葉が限られるのだろう。奴隷も、主も、何て不便な関係なのだろう。もどかしくなる。何を、どういう風に言えばいいのか。伝えたいままに言葉にすることは出来なくて。
「いいのかよっ」
「ラキ…?」
 怒ったような声で、ラキが、何か重い固まりを吐き出すように言った。先程までとは違う形に、眉根がぐうっ、と寄せられている。
「いいのかよ。そんな簡単にゆるしとか出して。オレは二回も逃げようとしたし、態度も反抗的だしッ。おまえがそんなだから、オレは調子に乗るんだぜ。もっと怒れよ!罰でもなんでも与えりゃいいんだ!命令しろよ!ゆるしたりなんか、しなくていいんだ。いい人のふりなんかしたって、おまえは魔術師だ。オレはおまえが憎いんだ。憎いんだ!でないとだめなんだよ!」
 絞り出すように、どこかすがりつくように、精一杯に怒鳴る彼は、本当にまだ子供だ。
「なんなんだよ!おまえはっ…!ちくしょう…。オレがっ泣いたら、ダメなんだッ……ダメに…な…ッ」
 ひぐっ、としゃくり上げながら言う言葉は、途切れがちで、ついにはラキの目から、堪えきれなかった涙が零れだした。ひとつ零れたら、そのまま止まらなくなったように、ぽろぽろと溢れてくる。
「止まれ…っとまれよっなんで……ッ」
 ラキはそれを、押し戻そうとでもするかのように、手で拭って、目を押さえる。その様子が、痛々しかった。
「ラキ、ラキ。悲しいから泣くんでしょう?無理をしなくてもいいんですよ。…いいはずなんですよ」
「…………ッ!」
 ラキが、そのまま私にしがみついて来たので、どうしていいか分からなくて、軽く頭をなでてやった。強く頭を押しつけられた胸に、じわりと熱い涙が染み込んでくる。
 おそるおそる、その背に腕を回した。拒絶はされなかった。ひどく薄い身体だった。熱でもあるのではないかと疑う程、その身体は熱かった。話には聞いていたが、子供の体温は本当に高いのだなと感じた。
 ラキはそのまま、声を堪えながら、暫く泣いた。
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