紅露と黒巳と紫陽花のオリジナル小話不定期連載中
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久々に置きに来たよ~。 一ヶ月以上前の続き。3DS発売と同時にレイトン教授が出たんで、こりゃやらなあかんと思い、ちまちまやっていたらこの様だよ。良かったけどね、ゲーム自体は。松任谷由美さんの「Mysterious flower」が、頭から離れない。 いい曲だ。 3DSもそれなりに面白い。ただ、目がすぐ疲れるし、レイトン教授は別に3Dじゃなくても楽しめるから、あんまり使わない。あと、電池の消耗が激しすぎる。
まぁ、ゲームの話はいいや。相変わらずグダグダ、くらーい雰囲気の続きものですが暇つぶしにどうぞ。
まぁ、ゲームの話はいいや。相変わらずグダグダ、くらーい雰囲気の続きものですが暇つぶしにどうぞ。
本校舎、中庭側、給湯室前の廊下は外にも負けないくらいびしょぬれになり、七人の大人がその回りを封鎖するように立っている。その内一人は、少しまだ気が動転しているのか、廊下の壁に背をもたれかけて座っていた。
「ビーズ? もう大丈夫かい?」
「えぇ。だいぶ落ち着いてきたわ。ありがとう、リーズ」
「いいんだよ、マイスイート! 君が無事で何よりだっ」
「少し静かにしろ、ヒマワリ」
「……兄ちゃん、それ恥ずかしいよ」
座り込んでいる一人、九尾 ビーズの前で格好をつけていたリーズに、難しい顔をしているパズから檄が飛んだ。その場にいたディアンも呆れたような口振りでそう言い、同じように階段を下りてきたザラとデビも呆れたような目でリーズを見た。
「なんでここにいるんだ、ディアン! 危ないだろ! 校庭に行ってろよ!」
「図書室にいたんだよっ! 今降りて来た所なんだ!」
「口答えしてないで行こうよ~、ディアン~」
「デビ、心配しなくていいよ。もう火は消えてるから」
「大した火事じゃなかったみたいだな」
「なんだ、ザラちゃんもいたのか」
「……ザラちゃんって呼ぶな」
すでに鎮火した給湯室。中の様子を首を伸ばしてみようとするディアンの頭を誰かがつかむ。パズは、子供のみるもんじゃないとばかりディアンを押し戻すと、そのまま給湯室に入っていった。どうやら中の様子を探って火事の原因を探しているようだ。その様子を残り五人は見守りつつ、火事が発生した当時、ここにいたビーズに質問を始めた。
「で、何があったんだい、ビーズ?」
「それが……。お湯を沸かしていたら、急に火が大きくなって。蛇みたいにうねり出したと思ったら、傍のカーテンに引火しちゃったのよ。火元は消したんだけど、ちょっと遅かったみたい……」
「蛇みたいにうねったのか。とすると……」
「俺としては妖魔の仕業だと思うんだぜぃ」
「皆そう思ってるって、ハリトー」
「妖魔?!」
ディアンは目を輝かせると、あれこれと相談をしようとしている五人を見上げ、「もう退治したの? まだなら俺も手伝う!」と大声で告げた。
妖魔。ディアンが持つ、古い戦士達のイメージである、魔物を退治するという仕事。これに関係するのが「妖魔」である。人の手では起こると考えにくい現象を引き起こし、普段は目に見えない。しかし、時折実体化してはこうして人に害を為し、また消えていくという厄介ものである。その姿は動物や昆虫、爬虫類など、人以外の生き物の形をしていることが多い。それらを未然に防ぐ、あるいは発生後、退治するというのが古来の、そしてディアンが持つ戦士のイメージ像の中核なのだ。
「ねぇねぇ、どんな妖魔だった? ビーズさん」
「ディアン! あんまり今、ビーズにしゃべらせるなよ!」
「さっきも言ったけど、蛇みたいだったわ」
「無理に答えなくていいってばー! ビーズー!」
「喚くな、うるさいぞ」
騒ぎ立てるリーズの大声に、いつも顰めている顔をさらに顰めながら給湯室からパズが顔を出す。その手には、真っ黒に燃えてしまった何かの切れ端が握られていた。その切れ端を五人に見せ、「妖魔の仕業はほぼ確定だ」と彼は告げた。
「恐らくは炎系の能力を持つ爬虫類型のものだろう。切れ端にうっすらとだが、鱗模様がついている」
「で、そいつは消滅したのかい?」
「いや。どうも、まだ消滅していないようだな。外は雨だし弱ってはいるが、また火元に入れば奴らは復活する。配管を通って、校内のどこかに逃げ込んでいる可能性が高い」
「よっしゃー! 俺に任せるんだぜぃ! ちょちょいのちょいで捕まえてやるんだぜぃ!」
「貴様には感知能力はないだろう。炎の竜玉を持っていないと無理だ」
俄然やる気を見せるハリトーを一蹴し、パズは「手分けして探すこととしよう」と、提案した。
「「炎」の能力を感知できるのは、レムとリーズの二人だな。二手に分かれるか」
「でも、校内に妖魔が現れるなんて、珍しいね」
黙って話しを聞いていたプスがそう言うと、他五人は確かになというように頷いた。完全に話についていけていない生徒三人は、その様子に頭の上に大きなハテナマークが浮かぶ。
「兄ちゃん、なんで校内には妖魔は現れないのさ」
「えっ? えーと、それは……」
「妖魔っていうのはね、ディアン。人の感情に誘き寄せられて現れることが多いんだよ」
答えられずに困っていたリーズに助け舟を出すように、プスがそうディアンに言った。
「特に、人のマイナスの感情に引かれて現れることが多くてね。でも、この学校ではそういった感情を人が持っても、それに妖魔が引き寄せられないような特別なバリアを張ってるんだよ」
「まぁ、簡単に言えば虫除けみたいなもんさ」
レムの言葉に、なんとなくイメージが浮かんだのか三人は納得したような顔をする。それを見て、「はいはい、分かったらもう先に帰りなさい!」とリーズが三人の背を押した。
「暗くならないうちに帰らなきゃだめだろ? 雨も降ってるんだからさ。あと、危ないから手伝うのも禁止!」
「兄ちゃん、答えられなかったからって俺達のこと追い出すなよ!」
「べ、別に答えられなかったからじゃねぇ!」
「大体、そうなってるんなら、なんで妖魔が現れんだよ?」
背中を押すリーズに反抗するようにディアンとザラが言う。その一言に、六人は「しまった」というような顔をして、お互いに顔を見合わせた。背中を押す手を止めたリーズを、それ見たことかとディアンとザラは見、デビは怖いことになるなら帰りたいと、自分の兄の後ろに隠れて震えるばかりだ。 そんな弟の気を知ってか知らずか、苦い顔でサトが口を開く。
「忘れてたよ。マサ先生がいる限り、妖魔がこの校内に現れるのは限りなくゼロに近いってこと……」
「しかも、今は雨だぜぃ。水に弱いはずのあいつらが自然発生するか?」
「となると、誰かによって持ち込まれたと考えた方が良さそうだな……」
「もしかしたら、その犯人の所に妖魔が逃げた可能性もあるよね」
「雨も急に降り出したし、練っていた計画が潰れたってところだろうなぁ」
「んの野郎! どこのどいつだ。見つけたらただじゃおかねぇ!」
自然発生ではなく、人災の可能性が出てきた今、頭に血が登ったのか、リーズがそう言って拳を握る。絶対に見つけ出してやると言わんばかりのその勢いは、誰にも止められそうにない。
「とは言ったものの、外部からの侵入者の線も濃いし、探し出すのは難しいんじゃねぇか?」
「愚か者。すでにいるだろう。疑わしい奴ならこの校内に一人」
リーズのとぼけた様な言葉をパズが一蹴する。その一言に誰だよというような顔をリーズがしている後ろで、ディアン達三人はゆっくりとこちらに近づいてくる足音を聞いていた。どうやら今まで外にいたらしく、歩くたびにびちゃっと水が落ちる音が聞こえてくる。
足音が止まり、角を曲がって現れたのはびしょぬれの、黒い影をまとった南澪都マサキだった。その姿をパズが睨みつける。ディアンの目は、マサキの黒く濁った瞳に向いていた。午前中に出会った時よりも、もっともっと淀んだ真っ黒にも見える緑色……。それを確認した途端、何かが傍をするりと駆け抜けていった。「お前かっ!」と、大声で叫んでマサキに突進したリーズは、彼の胸倉をつかむと壁に押し付ける。敵を威嚇するライオンのような目で、リーズはマサキを睨みつけ、マサキは黙って濁った瞳をリーズに向けていた。リーズ兄やんが壊れた~(今更) すんません、暗い箇所も次の二幕で終わらせるんで、もう少しマサキことレッスーに付き合ってあげてくださいな。 ではでは。
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