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紅露と黒巳と紫陽花のオリジナル小話不定期連載中
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 やぁー、久しぶりにちゃんとした休みがとれたので置きに来たよ。
ほんとは4月にもあげたかったんだが、インフルかかったり、初っ端から合宿研修という新しい生活にアタフタしてたら、もう5月だったよ。
 
 
 でもまぁ、相変わらずというか、書ける時にはちまちま書いてます。とりあえず、今のこの暗い状況のままでは、終わらせられん。頑張る! 
 
  でもやっぱり、ある程度の元気は必要なんで、また遊びに行けたらいいな。充電させて! てなわけで、休みの予定だけ載せとくんで、空いてる日あればメールでも電話でもしてくださいな。平日はほぼ出れないだろうけど、時間みつけて返すよ~。 続きに休日の予定と、第二幕~。


 まずは、休みの日程から。5月中は日曜日全部空いてます。あとは、GWの3日5日。月公休8日制。GWの予定とか、今更過ぎる。もっと早く挙げろという文句は、言ってくれてもいいけどその分私は、地獄の合宿研修の話をしてやるから覚悟するんだな!
 
 では次から第二幕~。推敲あんまりできてないので、何か見つけた時は、オブラートに包んでやんわりご指摘を。

第二幕  失盗 レス
 
 「正直に答えろ! 今まで、どこで何してた?」
 リーズの怒鳴り声がびしょぬれになった廊下に響き渡る。青い瞳で強く睨み付けられている相手は、光もない真っ黒な目をリーズに向けたまま、何も返そうとしない。
「お前いい加減に!」
「ちょっと待てよ、リーズ! マサキの奴、何か出そうとしてるぞ」
 今にも殴りかかりそうな勢いのリーズを落ち着かせようと、サトがそう言ってレスの手元へと注意を逸らす。少し躊躇しつつ、レスが取り出したのは、弱くて小さくなりつつも、口からチロチロと舌ならぬ火を出しながら暴れている真っ赤なトカゲだった。
「やっぱりお前がやったんじゃねぇか! 何とか言え! この仏頂面!」
「リーズ、落ち着け!」
「これが落ち着いていられるかってんだぜぃ、サト! レスの奴、あのサラマンダを素手で掴むなんて!」
「貴様も落ち着け」
 パズがそう言ってハリトーを能力で引き留めている間に、レムとプスがサトに手をかそうと近づく。というのも、リーズがマサキの体を持ち上げ、今にも首をしめんばかりの勢いだったからである。身長差のために、マサキの足は地面から十センチ程浮かんでいたが、彼はされるがままでただやはりあの黒い目をリーズに向けていた。
 
「やっぱり、マサキ先生は……本当は」
 大人達の様子を、後ろから見ていたディアンの横で、デビがそう呟く。三人は聞き逃していなかった。それはつい先ほど、話題に上ったばかりの名前だったからだ。
「これで、確実だな。あの写真の奴は、あいつで間違いない」
「お前、気付いてたんじゃないのかよ」
「ふん。あの写真じゃ、別人のように感じが違ったからな。確証が持てなかっただけだ」
 ツンとして返すザラを、ディアンは少し疑わしげに見るが、すぐに視線を大人達の方へ戻した。
 ビーズが加わり、やっとマサキ(いや、レスと呼ぶべきか)をリーズから引き剥がすことに成功した面々は、トカゲをがっしり掴んだまま立ち尽くしている彼をグルリと取り囲んでいた。その状態で、お互いに黙り込む。真正面からパズが睨みつけると、マサキもそれに対抗するようにあの鋭い視線を投げ掛けた。
「その手に持つトカゲはなんだ? 先に言っておくが、変な気を起こせばその体に風穴が開くことになるぞ」
「……」
 マサキは返さない。チロチロと火を出し入れするトカゲが、そんな彼の手から逃げ出そうともがいている。しかしどんなに大きな火を出しても、じたばたともがいても、マサキは表情ひとつ変えずにトカゲを握りしめていた。
「……言う気はないということか。ならば、貴様を犯人と断定してトカゲ諸とも攻撃しても、文句はないのだな?」
「……」
 やはりマサキは答えない。そんな彼に六人はそれぞれ武器を取り出す。短剣、鉤爪、銃に棍棒。しかしマサキは怖じ気つく様子もなく、やはり立ち尽くしていた。
 
 
 武器を取り出した兄達に、ディアンは驚いて声を上げた。確かに怪しいのは分かるが、そこまでする必要なんてないはずだ。短剣を手に、マサキへと突進するリーズの姿が見えた時、ディアンは兄に向かって叫びながら抱きついていった。横から急に抱きつかれて、リーズが驚いたような声を上げる。
「何するんだよ、ディアン!」
「兄ちゃん達見損なったぞ! 話も聞かないで、いきなり攻撃なんて! それじゃ、前と同じじゃん!」
「バカ! ほんとに攻撃するかよ! ちょっと脅そうとしただけだ」
「脅しなんて言葉を使うなよ、リーズ。僕達が本気だってことを見せるためにやったんだから。効果はなかったみたいだけどね」
 ポカポカと叩いてくるディアンを、諭そうと躍起になっているリーズの側でサトが肩を竦めながらそう言う。他の四人も渋い顔をして肩を竦めると持っていた武器を収納する。その中央では、マサキがまっすぐ前を見つめたまま立っていた。先ほどから殆ど動いていない彼を、不愉快だとばかりにパズが睨み付ける。その目に非常に強い憎しみが込められているのを、ディアンは感じとった。あの時の、商店街の人々と同じ、冷たい瞳だった。
「先生! 先生がこれやったのか? なぁ?」
「……」
「なんとか言ってくれよ。ねぇ、先生は悪い奴なのか?」
「……」
 マサキは何も答えずに、やはりまっすぐ前を見つめていた。その焦点は、目の前にいるパズのさらに向こうの奥に当てられている。本当にすぐ近くにいるはずのディアンなど、視界にすら入っていなかった。
「せん……」
「ディアン、止めとけ。こいつは、俺達の前では絶対しゃべらない」
「俺達の前では話してくれてたよ! なっ、そうだろ、先生?」
 マサキはやはり答えない。答えない代わりに、瞬きを一度しただけだった。
「……」
「パズ、マサ先生は?」
「今こちらに向かっておられる」
不満げな顔でマサキを見上げるディアンの後ろで、大人達の会話は続く。ビーズは火傷の手当てのために保健室へと入っていき、代わりにデビとザラが輪の中に合流する。「ディアン、大丈夫?」と心配そうな顔をしてデビがディアンに駆け寄る。直立不動したままのマサキを、怯えた表情で見上げた彼は、「向こうへ行こうよ」と言って、ディアンの服の裾をつかんだ。
「なんで何も話してくれないんだよ!」
 ディアンは大声でレスにそう言い放った。こちらの方を見ようともしない彼に向かって、目一杯大きな声で。マサキは動かないままだったが、構わずディアンは続けた。
「あの時は悪かったよ。俺も先生の話、ちゃんと聞かないで疑った。火影だから、悪い奴だって決め付けてた。そのことは、本当に悪かったと思ってる。でもだからって、もうしゃべってくれなくなるのは嫌だ! だから」
 「何とか言って」、そう言った時には、すでにマサキはディアンの目の前を離れ、廊下の奥へと向かっている最中だった。ディアンと六人衆の間をスルリと通り抜けたレスは、真っ直ぐ廊下を行こうとする。トカゲは暴れ疲れたのか、ぐったりとして彼の手の内に収まっていた。
「……人形みたいだな」
 ディアンが呟いたのはその時だった。足早に去ろうとする背中に向け、挑発するように。レスの足がピタリと止まり、彼が何事かを考えているらしいことが分かる。だが生憎、背を向けられているディアンには、その表情までは分からない。ので、彼は続けた。
「ちょっとは怒るのかと思ったけど、全然だな。亡霊の方がもっといい反応するぜ。あんたは、何も返してくれない。だから人形だ。外見は人間だけど、中身は何にもないただの物だ!」
 周りの六人衆が、何を言い出すんだと口をあんぐりと開けていた。ザラは多少驚きはしたが、それを顔には出さないようにしているようであったし、デビは「なんでそんなこと言い出すんだよ」と言いたげに、ビクビクとしてディアンとレスを交互に見ていた。
 ディアンはさらに言葉を続けたかった。それはこの一ヶ月間、何の反応も示してくれなかった彼への不満の表れだった。挨拶をしようが、話しかけようが、にこりともせず、怒ることもない。本当に何を言っても、反応しないのか……。それを確かめると同時に、文句を言うチャンスだと思ったのだ。
 しかし、レスが振り向いた時に見えたものに、ディアンは言葉を失った。明るい黄緑に変色し、瞳孔が猫のように細くなった目を、レスはディアンに向けていた。表情は険しいものだったが、どこかショックを受けているようにもディアンには見えた。だからなのだろうが、不意に今まで言おうとしていた言葉はすべて吹っ飛び、頭が真っ白になった。ただ、レスの手に握られたトカゲが、燃えるような赤から冷たい氷のような白に変わっていくのをぼんやりとして見ていた。
 ディアンを守るように隣にきたリーズが、その変化を知らせるように指を指す。レスがそれに気づいた時には、トカゲは変色を終え、徐々に膨張している最中だった。
「トカゲを放すんだ、レス!」
 誰かが叫ぶと同時に、今自分が行こうとしていた方へ、レスがトカゲを投げ捨てる。パンパンに膨らんだ風船のようになっていたトカゲは、廊下に当たって弾むと一気に空気を吐き出した。冷たい白い空気が、廊下を多い隠す。冷気に廊下に広がった水が、薄く氷を張った。それぐらいの冷たさだ。
 白くなった空気がもとの状態になると、そこには何も残っていなかった。
「……どこいった?」
「いや、逃げたわけではないだろう。どうやら、感情を吸いすぎて破裂してしまったようだな」
 唖然としているディアンの横で、リーズが辺りを見回しながらそう言うと、パズがそう付け足してレスを見た。
「あの妖魔を呼び出した張本人は貴様ではなかったようだな。今回は、疑ったことを詫びておこう」
 いかにも残念だと言いたげにそう言ったパズに、レスは何の反応も示さなかった。どころか、少しぐったりして壁にもたれ掛かっていた。普段からあまり良いとは言えない顔色を、さらに青くして冷や汗をかいているようにも見える。
「先生、大丈夫ですか?」
 心配そうな顔で、デビが声をかけるとレスは少し顔を持ち上げた口を開けて、何かを言おうとしているようだったが、声が小さすぎて何も聞こえない。
「安心しなよ、デビ。一時的なものだからね。彼もそれを言いたいんだと思うよ」
 サトの言葉にレスがコクりと頷く。本当に一時的なことだったらしく、彼は次には真っ直ぐに立つとデビに向かって会釈した。
「ったく、お前じゃないならさっさとそう言えっての。こっちだって別にお前のこと、疑いたいわけじゃねぇんだから」
 頭を掻いて、ばつが悪そうにリーズがそう言う。レスはそれに、すいませんというかのように頭を下げた。いや、だから何か言えよと言おうとしたリーズだったが、保健室の扉が開き、ビーズが出てくるのが見えるとお構い無くそちらの方へすっ飛んでいった。その場にいた全員が、リーズの背に呆れたような視線を送る。レスでさえ、目にはっきりとその思いが浮き出ていた。
「先生、あのさ」
 そんなレスにディアンは近づくと、首を傾げた(無論、無表情のままだ)彼の顔を見上げた。
「さっきは………ごめんな。俺、先生にひどいこと言った」
 しゅんと俯いたディアンは、続けて
「先生を怒らせたかったんじゃないよ。ただ、ほんとに何も思わないのか確認したくて」
と言い訳した。
「人形だなんて言って、本当にごめんなさい」
 辺りがしんと静かになる。視線はレスへと注がれていた。またいつも通り、何も言わずに終わらせるだけだろうと誰もが思っていた。
「……いえ。君が言ったことに間違いはありませんよ」
 小さい声でレスが呟く。ディアンが顔を上げると、そう思うのは当然のことです。とレスは続けた。
「……俺に感情がないのは事実、その通りですし、そう思っていてもらえて安心しました。先程は少し、昔のことを思い出して感情的になってしまっただけです」
「レッスーがしゃべってる……。聞いたよな、プシー? 俺の耳が悪いわけじゃないよな?」
「う、うん」
「なんだ、案外スラスラしゃべるもんだな~」
「感心するようなことじゃないだろう、レム」
「デビから聞いてはいたけど、ほんとに声ちっさいな……」
 場に残って声を聞いた六人衆がそれぞれに呟く。どうやら異常に驚いているその様子に、ザラとデビはそれぞれの兄達を不思議そうな顔で見上げていた。
 一方、ディアンはそう返してきたレスの顔を見つめてぼーとしていた。さっき言われた言葉を、信じられないと言いたげに首を振って「何言ってるのさ、先生」と呟いた。
「?」
「感情がないってどういうこと? 先生、さっき怒ったんだろ? 感情あるじゃん?」
 なんで、ないなんて言うんだよ。
 不思議そうに自分を見つめるディアンに返ってきたのは、冷たい言葉だった。
「ないものはないんですから、仕方ないでしょう」
「いらないものを削るのは、当たり前のことです。本当に大切なことのために、君だって何かを削ることがあるでしょう? それと同じことです」
「! なんだよ? なんだよ、その大切なことって。感情を削ってまで大切にしなきゃいけないことなんて、ないだろ?! ほら、この写真! ここに写ってるのはあんただろ? 急に笑えなくなんてなるはずない!」
 ディアンが突き出した写真に、一度視線を合わせるレス。だがすぐに目を反らし、彼は真っ黒な目でディアンを見返した。
「……動き続けるためにはそうするしかなかった」
 また少し周りの空気が冷たくなった気がした。冷たいと言っても、先ほどのように凍るような冷たさではない。少し肌寒い、そんな感じだった。見ると、レスの真っ黒な瞳は淡い緑へと変化しており、真っ直ぐにディアンを見ていた。
「……そうすれば、同じ苦しみから逃れて生きられる。僕は……あの時そう思ったんだ」
 小さな細い声でレスが呟く。今回ははっきりと、悲しげに俯く彼の様子がディアンの目には映っていた。


 第二幕はここまで。第一幕が割りと長くなったので、大分短くしました。うん。次からディアン君がさらに頑張ってくれます。うん、そのはず。 
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