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紅露と黒巳と紫陽花のオリジナル小話不定期連載中
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 あけましておめでとうございます。 メールで年賀状なんぞ送ってしまって申し訳ない。しかし、かわいかっただろう? 相変わらず親ばかです。 
 さてはて、新年一発目の更新です。おみくじってわけでもないですが、黒巳の言ってた文体診断の結果も載せときます。とはいえ、出てきた人らの作品、ほっとんど読んでないからあんまりわかんないけども……。とりあえず、ワースト3に岡倉天心入ってるのに吹いた。 
  
 以下に二章の続きと文体診断結果。

 文体診断結果
walia 第一章 冒頭
 
一致指数ベスト3
 
1、森鴎外    74,8
2、井上ひさし  73,2
3、幸田露伴   72,8

ワースト3
1、岡倉天心   45,3
2、吉川英治   49,3
3、橋本龍太郎  52,1

文章評価

 評価項目 評価とコメント
1 文章の読みやすさ A とても読みやすい
2 文章の硬さ A 適切
3 文章の表現力 A とても表現力豊か
4 文章の個性 A とても個性的

 評価がAだったのは嬉しいな~。 ベスト3がそうそうたる顔ぶれで、すごく気後れするんだが……。私、そんなに文章書くのうまくないよ。三人揃って岡倉天心に嫌われてますなぁ~。まぁ、天心さんのこと、知らないから別にいいけどね。 続いて、第二章の続き~。

  じゃんけんで勝敗を決めるのには、それほど時間はかからなかった。見事に一発でレイに負けてしまったディアンにより、発表は八班を先発にして順番に回ることになったのだ。その結果に、次の番である七班の女子二人から、厳しいブーイングが飛び、レイにはバカにされ、それらに対抗して大声を上げてとしていたため、調べ物をするために三人が図書室に来た頃には、ディアンはヘトヘトになっていた。時刻は午後四時、放課後である。
「疲れた~。もう早く帰ろうぜ~?」
「騒ぎすぎなんだよ、お前は。今から調べとかねぇと、休み中に学校にくることになるぞ」
 とりあえず資料を見るために取り出した本をパラパラめくりながら、ザラはぐでーと机に突っ伏していたディアンを一喝した。その隣では、デビが一心不乱に本を開いて読みふけっている。
「調べるって言ったって、まず何を調べるのさ? どの戦をするのか、まだ決めてないだろ?」
「それを今から決めるんだろうがよ」
 目を引くものがなかったのか、取り出した本を元に戻しながらザラはディアンに睨みを利かす。そして、デビの方を見て「何かあったか?」と尋ねた。
「どんな戦でもいい、と言ってたが、せめて範囲くらい決めてくれりゃいいのに」
「先生に文句かぁ? 今度言いつけといてやろうか? あぁ見えてサトさん、怒ると怖いんだぜ?」
 ニヤニヤと笑いながら言うディアンを無視して、ザラはその隣のデビを見る。眼鏡を光らせ、真剣に本を読んでいた彼は「よし、これにしよう」と言って持っていた本を取り上げた。
「やりがいがありそうなのだと、やっぱり謎が多く残っている戦だと思うんだよね。だから、この」
「そんなのより、七年前の景山の戦にしようぜ! 俺、兄さんのことならなんでも分かるし!」
「あれ、僕の意見は?」
 ディアンに遮られてしまい、意見を最後まで言えなかったデビがそう呟くが、ディアンの耳には届かない。彼は、必死に本をめくって「景山の戦」の項目を探している最中だったからだ。それを横目にしつつ、ザラは「兄さんってのは、風野のことか?」と尋ねた。
「当たり前だろ~。レムさんから聞いてないのかよ?」
「フン。聞いてはいたけどな。その割にお前が弱いんでデマかと思ってたんだ」
「なんだとー!」
 まぁた始まったとばかり、デビは取っ組み合いを始めた二人を呆れたような目で見る。こうなってしまうと、自分が止めに入っても無駄だろうし、と彼は諦めたようにため息をつくと、とりあえず「景山の戦」を調べる事にしようと考えて、本に手を伸ばした。
「ん?」
 ふと見ると、廊下の上に二枚に折られた紙が落ちている。それと一緒に、先ほどディアンが「先生のだ」と言っていた栞も落ちていた。どうやら、ポケットにしまっていたのが落ちたらしい。全く、物を大切にできないのは相変わらずだなぁと思いつつ、デビはそれを取り上げるとまじまじと見つめた。
「へぇ~。綺麗な絵だなぁ~。「福寿草」って、花の名前かな? 誰が書いたんだろ?」
 まさか先生? と一瞬考えがよぎるが、まさかねぇ~とデビはその考えを振り払うと、もう一つの紙を見てみることにした。
「あー!」
 ディアンの大声が聞こえたのはその時だった。
「ずるいぞ、デビ! それ俺が後で見ようと思ってたのに!」
 喧嘩を一時中断し、ディアンはデビに駆け寄ると手にされていた紙を覗き込んだ。 
 日に焼けてしまったのか少し茶色く変色した紙。所々が擦り切れ、汚れているそれは色あせた写真で三十人くらいの男女が笑顔で写っていた。皆、なぜか一様に同じ上着を着ている。色あせていても、それが黒色でジッパーラインは燃えるような赤であることだけははっきりと分かるが、折れて線の入った部分はよく色が分からなくなっていた。
 写真を隅々まで見ていたディアンは、その中央に視線を向けた途端目を疑った。嘘じゃないかと、目を反らしてからもう一度見てみる。信じられないものは変わらずそこに写っていた。
「よく見えないよ。何が書いてあるのさ、ディアン」
 割り込まれて困っているデビがそう呟いたので、ディアンは横に少しずれて、写真をさらに見つめる。何してんだとばかり遠巻きに見ていたザラもすぐ隣にやってくるとそれをのぞき込んだ。
「あっ」
 二人が同時に驚いたような声をあげる。
 三十人程の男女が写っている中央。仲間に囲まれてぎこちなく笑っている彼に、三人の目は釘付けになっていた。その笑顔は確かにぎこちないものだったけど、確かに彼が心から笑っていることを知るには十分だった。三人は今まで見たことのない彼の笑顔に、彼が普通の人間であったという安堵を覚えるが、それと同時に彼の左目にある十字の痣に少しの恐怖を覚えた。三人は顔を一度見合わせる。彼らの担当・南澪都マサキは、写真の中央で仲間に囲まれ、幸せそうに笑っていた。
 
 
 少し暗くなり始めた川沿いの草原をガサガサとかき分けてみる。しかし見つからない。あるとすればここだけのはずなのに。ないと言う事は、誰かが持っていったのか。見上げると暗くなってきたのが、日が落ち始めたからではなく、厚い雲が空を覆い始めたからだと分かる。やがて降り始めるだろう。あれが、汚れないのならばそれでいいが、もし拾われたとすれば、おそらく拾ったのは……。雨粒がポツポツと顔に当たって弾けた。もう、どうなってもいいや。
 どこかで、息を潜めていた何かが、そっと動く気配がした。
 
***
 ザーザーと雨が降り出していた。暗くなった外とは裏腹に、明るく感じられる図書室。その机の前で、三人は呆然として写真に見入っていた。
「……先生に……、痣?」
「やっぱり俺の見間違いじゃないよな? これ、先生だよな? 笑ってるけど」
「……こいつ、マジかよ」
 三人はそれぞれにそうつぶやくと、ディアンとデビは顔を見合わせた。
「この十字痣どっかて見たような……」
「当たり前だろ? こいつがどんだけ有名だと思ってんだ?」
「先生が、……もしかしてとは思ってたけど本当にそうだったなんて」
「?」
 落ち着き払って言うザラとは裏腹に、オロオロとしながら怯えている風にも見えるデビを見て、ディアンは言い知れぬ不安を感じた。デビがここまで怯えるのは、何かとんでもないものを知った時だ。
「俺は、ただこの人に会った事がある気がして……」
「だとしたら、よく生きてたな、お前。まぁ、俺らも今じゃ似たようなもんだけどな。……てか、気付いてなかったのか?」
 ディアンの言葉に呆れたようにザラは呟くと、一から説明してやると言わんばかりに、写真を指差した。
「こいつは、二年前の草原の戦で裏切り者になった失盗 レスって奴さ。名前くらい聞いた事あるだろ?」
「き、聞いた事はあるけどよ。お前だって、さっき驚いてたじゃんか」
「あれは、この写真にこいつが写っていることに驚いたんだよ」
 ザラは鼻で笑うと、腕組をして机に置かれた写真を見下ろした。ディアンは、ザラのそんな様子を見てから午前中のマサキとの会話を思い出していた。火影の仲間なのかという問いに、「違いますよ」と答えていたことを思い出しつつ、その後はっきりと答えてくれなかったことが思い出された。
デビも同じ事に思い至ったのか、「うわー! やっぱり先生は前の火影と関係あるのかも~」と午前中に言っていたことをまた繰り返していた。
「どうする?! マサ先生に問いただしてみる?どういうことなのか説明してもらわなきゃ!」
「デビ、お前、マサ先生に文句言える自信ある?」
 ディアンの苦笑混じりの返しにデビはすっと黙り込んだ。先月の叱咤を忘れることはない。
 雨音の響く図書室で三人はまた顔を見合わせた。と、その時である。急にジリリリリリッと火災を知らせる警報が、辺りに響き渡ったのだ。続いて放送で、本校舎の方で火が上がっていることを告げるアナウンスが響く。本校舎、三階にいた三人は急いで外へと駆け出した。


 はい。相変わらずというか、新年早々からなんか重い空気のパートがありましたね。すいません。もちろん、あの人です。もう少しの間、あの人はこんな感じです。でも書くのめんどくさいよ、この野郎。早く大暴れさせてやりたいもんです。 
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