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紅露と黒巳と紫陽花のオリジナル小話不定期連載中
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 懸念していた編集作業が無事終わり、製本もあっさり終わってほっと一息。
 出来上がった部誌を見ていたら……。
 致命的な誤字を発見。
 ………。
 くやしかったので、誤字訂正版を置きに来ました。

 とても短いです。続きに置くまでもないので、以下に。


夜の売り子
 
 夜の売り子は少女で、少女は柳で編んだ大きなかごをぶら下げて、夜の町を歩く。
「夜を売ります。
 夜を売ります。
 お代はあなたの昼で結構。
 眠れぬ夜は二昼で。
 一人の夜は三昼で。
 凍える夜は四昼で。
 嘆きの夜は六昼で。
 柔らかな夜は八昼で。
 夜を売ります。お売りします」
 歌うように声を響かせ、少女は毎日夜の町へとやってくる。
 夜を買いたいという人は、たまさかやってくるのだが、彼らもまた、少女の求める昼を持ってはいないので、結局少女の夜は売れない。
 夜の売り子は、昼が欲しい。
 少女は昼が欲しくてたまらない。
「夜を売ります。お売りします」
 そうしてある日、一人の男が、夜の売り子の前に立つ。くたびれた姿のその男は、両手いっぱいの昼を差し出した。そして一番優しく、一番暗い夜を求めた。 少女は大喜びで、夜を渡して、昼を受け取った。
 
 男の手の中で、少女の夜は消えた。
 少女の手の中で、男の昼は消えた。
 二人は互いの運命から、逃れられなかった。
                                          
      了
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