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紅露と黒巳と紫陽花のオリジナル小話不定期連載中
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 春休みですが、なかなか出すものがなくて、というか書いてなくて、久しぶりになってしまいました。
 ちょっと近況。
休み中ではありますが、部活の方で少々動いていまして、現在も編集作業中、より正確には編集作業滞り中、です。部長の原稿が出来ないと、ここから先には進めないのです。で、部長に進捗状況を尋ねるメールを送ったところ、
「ごめん、今旅行中」
 
 ………おい。
 果たして製本日までに間に合うのでしょうか。そして私は製本日に無事でいられるのでしょうか。…くたばってないだろうな。

 そして個人的な調べ物をしていたのですが、今は一時中断。ちょっと行き詰まってしまいまして。

 なんかばーっと話書きたいなあ、と思っていたのですが、長編に手を着ける余力がなく、ちょっとした小話を置いておきます。

「わあ…」
 坂を上った先に広がっていた光景に、架楠と彪は思わず歓声を上げた。
 その名前を挙げれば誰でもすぐに思い浮かべることの出来る淡い薄紅色が、枝を占領しきって溢れんばかりに開く、巨大な古木が、堂々と立っていたのだ。
「青蓮さん。すごいね」
「きれいだな」
 二人は振り返って、千早姿の巫女に同意を求めた。
 青連は、塗笠をちょいと持ち上げ、目を細めてその古木を眺めた。
「ああ。そうだね。春がここまで来ているんだねぇ」
 そして、その答えに満足して、立ち止まったまま見事な満開の花を見上げる子供らの姿に、微笑んだ。
 その視線が、ふとその木のある一点で止まる。そして、深く被った頭巾の下に、小さな角を隠し持つ彪も、自分の右目が捉えたのと同じ所を見つめていることに気づいた。
 満開の枝に腰掛け、幹に腕を回すようにしている、長い髪の美しい女性。真っ白な着物を纏い、憂いを湛えた目で、山の向こうを見つめている。
 顔全体をすっぽりと頭巾で覆う架楠には、その姿は見えていない。その姿を異形と呼び恐れる者達がなんと言おうと、架楠はただの子供なのだから。
「きれいだね」
 呟かれた架楠の言葉に、二人は頷くだけだ。見えぬ者にあえて教えることでもない。きれいだと言えるのなら、それで十分ではないか。

「二人とも、どうかしたの」

 けれど沈黙する二人のいったい何に気づいたのか、架楠はきょとりとした顔で尋ねた。
「何でもないさ」
「ほんと、きれいだよな」
 彪も青連も、嬉しそうに笑ってそう答えた。
「さあ、そろそろ行くよ」



 春めかしいものを、ということで。タイトルとは関係なかった。
 一応彼らの基本。
 彪は鬼なので、当然不思議なものが見えます。青蓮さんも、右目で見ることが出来ますし、巫女としての力があるので、ある程度対処することもできます。架楠だけが普通の人間、ということ。
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