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紅露と黒巳と紫陽花のオリジナル小話不定期連載中
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 テストの現実逃避……。テスト自体は簡単なものだけど、なんだか頭が働かないー。
 学校でもっとかわいい子当たらないかなぁ。できればシュナで(笑) 最近プードルやりすぎて飽きてきた。いや、プードルも可愛いけどね。やっぱりシュナですわ(笑)
 毎日犬見てて、個人的にはディアン君はやんちゃなジャックラッセル、デビ君はビビりなチワワ、ザラちゃんはイケメンミニチュアピンシャー、レッスーは大人しめの白ポメかなぁとか思ってる。
ってか、全員小型犬かいっていう突っ込みはなしで。


第六幕 妖魔の倒し方
 

 炎に飲まれた。めちゃくちゃ熱い! 熱い! 熱い……?

「! 熱くない?!」

「煩いぞ。 落とされたいか?」

「! マサ先生?!」

 目の前に不機嫌な顔をした人物がいるのを見て、思わず声を上げる。彼はさも、椅子があるかのように天井近くの空中で足を組んで座っていた。

「あれ? でも俺さっき、炎に飲まれたよな?! あれ? どうなってんの?」

「騒ぐな。落とすぞ。間一髪の所で俺様が助けてやったんだ。まぁ、訓練もギリギリ及第点だったことだし、今回は褒めてやろう」

 フンと軽く笑ったマサはスーっと指を動かす。ディアンは体がそれに倣って動くのを感じた。よく見れば、自分の体も、デビもザラも空中に浮かんでいたのだ。「落とす」というマサの言葉の意味が分かって、ディアンはゴクリと唾を飲んだ。

「ここらでいいかな」

 二階の階段の踊り場に降りたマサは、「貴様は元気だな?」とディアンに聞き、デビとザラに手を翳した。途端に赤い光がマサの手から発せられ、デビとザラの体の中に入っていった。

「うん。マサ先生、それ何して」

「んー?」

 マサが手を放したのを見、ディアンが声をかけようとした途端、デビとザラは同時に目を覚ました。二人とも、少し寝ぼけ眼で、まるで今まで寝ていたかのようだ。

「デビ―! ザラ! 良かった!」

「あれ、ディアン? ……ハッ! あ、あの後どうなったの? ディアンは大丈夫だった?」

「うん、俺は大丈夫! 皆合格だってさ! やったなー!」

「フン、当たり前だ。……おい、待て。まさかお前、あとの火影全部……」

「くっちゃべってないで、起きたならこっちへ来い、ガキ共」

 ワイワイと喋っていた三人は、低い声に急いでそちらに向かった。

マサは階段の踊り場から下を見ていた。ディアン達にも下を見るように促す。何があるのかと三人が、手すりから下をのぞき込むと、最初にいた玄関ホールが始めの頃よりもさらに酷い有様になっているのが、まず目に飛び込んできた。

「えぇ?! まさかあれ、俺達のせい?!」

「そ、そんな! 僕達が戦ってたの二階だし、一階じゃないよー」

 デビが情けない声を上げると同時に、何かが壁にぶつかる音が玄関ホールに響いた。

「……誰か戦ってんのか?」

 ザラが言うと、舞いあがった砂埃の中から先ほどの火影が姿を現した。いや、先ほどと同じとは言い難かった。着ている服は確かに黒とオレンジで、そこが唯一、先ほどまでと同じ所だ。だが、顔がなかったはずの場所には大きな口と思しき裂け目ができ、うぅーとか、ぐぉーという声を発していたし、何より背中と腕に棘が生えていた。総合すると、悪魔のような姿になっていたのだ。

「疑似妖魔の寿命はさほど長くない。制作過程での都合上、どうしても長時間稼働すると、負のアニマが膨張し、暴走する。まぁ、今回はギリギリ大丈夫だったようだがな」

「あんなの俺、勝てる気がしねぇ……」

「僕も……さっきので十分怖かったのにぃ」

「ちょっと待てよ……、てことは俺達あのまま逃げ回ってたら、あれを相手にしなきゃいけなかったってことだよな?」

「そうだが、それがどうした?」

「「「そんな話聞いてない!!!!」」」

「別にいいじゃねぇか。戦うことになったわけでもねぇし」

 マサがめんどくさそうに答えたことにザラが追及を加えている横で、ディアンは再び下をのぞき込んだ。今や悪魔と言っても過言ではない火影、基疑似妖魔が動いているのを感じ取ったからだ。

 下をのぞき込んだディアンは、そこで疑似妖魔たちが戦っている相手に、目を丸くした。

「マサ先生! なんで先生が?!」

「やっと気付いたか」

 ザラの追及などものともしていない顔でマサは答えると、自身も下を見た。レスは三人の妖魔を相手に、攻撃をヒョイヒョイと避けながら軽くあしらっているようだったが、マサの視線に気づくと、今までより高くジャンプして二階踊り場正面にあるシャンデリアに飛び乗った。シャンデリアは軽くユラユラと揺れたが、すぐに揺れは収まり、レスはあの無表情な顔を三人に向けた。

「レス。打ち合わせ通りにいく。それと……、能力の使用も許可する」

「……了解」

 短く答えたレスは、口を開いたディアンには目もくれず、シャンデリアから飛び降りてしまった。

「さて。無事演習を終えた貴様らには、次に講義をせねばなるまい。防御のやり方はほぼ習得できたと言っても過言ではないから、後に回すことにしよう。まずは疑似妖魔どもを壊すついでにちょうどいいので、戦士の戦い方を実演してみせる」

「こ、壊すって……でも、あれも一応生き物なんじゃ」

「さっきも言ったはずだ。制作の都合上、どうしても最終的には暴走する。このまま放っておいても、結局は壊さなければならないのだから同じことだ」

「そんなの勝手じゃないか?! 作っておいて、最後には壊すなんて!」

「これが貴様らを守るためだと言ってもか? 妖魔のことを何もしらず、任務に出た先で人型の妖魔に出会った時、貴様らはその妖魔に止めをさせるのか?」

「そ、それは……」

「……嫌なら、そんなことの必要がない世界を作れ。貴様ら自身の手でな」

 下を見ろ。

 不服そうなディアンやデビの顔も見ず、マサはそう指示を出した。ザラがまず諦めたように手摺により、渋々ディアンとデビも手摺へと寄った。

「残った妖魔は三匹。貴様らが覚えるべき戦い方も全部で三種類あるが、今回はその内二種類に限定する。順に技を使って、仕留めるようレスには伝えてあるから、レスの動きをよくみておくことだな。ではまず一つ目」

 三体の妖魔の攻撃を避けていたレスが、不意に一匹に蹴りかかる。続けてもう一匹にも蹴りかかると、遠くへと飛ばしてしまった。

「……先生って、蹴り技強いよなー」

「その蹴りも一つだが、全体的にこれを体術と呼ぶ。言うなれば格闘技全般だな。貴様ら、学校で何かやったか?」

「空手、柔道」

「合気道だっけ? それもちょっとだけやったよな?」

「うぅ、苦手なやつばっかり……」

「それらを基礎としてはいるが、ルールといったものはないと思っていればいい。まぁ、使う奴によっては蹴りしかしないとか、拳しか使わないという奴もいるがな。まぁ、それはおいおい貴様ら自身が決めればいいことだ。 

 ……言っておくが、レスの奴は体術だけなら貴様らの兄貴も凌ぐぞ」

「えぇっ?!」

 そんなことを言っているうちに、レスは残った一匹の妖魔に顎下からの強烈な蹴り上げを決め、気絶させてしまっていた。残りは二匹。

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