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紅露と黒巳と紫陽花のオリジナル小話不定期連載中
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私はホラー書くの苦手なんだろうな、とつくづく思った。

ジャラジャラジャラ! ピコピコーン! バキューン、バキューン!
 七人が泊まっている古き良き旅館には、ゲームコーナーが設置されていた。少し古い型の物だが、スロットやUFOキャッチャー、シューティングゲームなどなど、種類があり、そして何よりそこは明るかった。
 レ「いやー、やっぱいいなぁ! ちょっと簡単すぎるのがあれだけど、久々にやると楽しいもんだ」
 シューティングゲームのゾンビを、次々撃ち殺しながらレムが活き活きとした笑顔を浮かべる。他の六人は内容が内容だけにか、そのゲームに手は出さないものの、その場の雰囲気に少しホッとしていた。
 サ「まぁ、って言っても、約一名は気絶してるんだけどねぇ」
 足元で泡を吹いて気絶しているリーズを見下ろし、サトは持っていたコーヒーを一口すすった。
 あの笑い声で完全にノックアウトされたらしく、悲鳴も上げずに気絶したリーズを、さすがに部屋に放置するわけにもいかず、ここまで引っ張ってきたのだ。ジャラジャラとうるさい(人気があり、騒がしいという意味では良い)場所にいれば、その音でその内目を覚ますだろうという、パズの考えだ。
 パ「全く。いらん荷物を増やされてはたまったものではないな」
 プ「まぁまぁ。折角空気変えにきたんだし、他にお客の姿もないし、とにかくリーズはそこらに置いてても大丈夫だろうから。僕らも何かやろうよ。スロットとかもあるし」
 ハ「待て待てぃ、プシーっ! 折角の旅館なんだぜぃ?! これをやらずに帰るってのはないぜぃ! いざ、六人衆+レッスーで卓球トーナメント開催!!だぜぃっ!!!」
 コーナーの隅にデン!と置かれている卓球台を指差し、ついでにいつの間に借りてきたのかそれ用のラケットを手に、ハリトーが目を輝かせてメンバーを見る。普通の友人同士の旅行であれば、それはいいな、よしやるかっ!となる流れなのだが
 サ「あー、僕、君と当たっても勝てないの分かってるし、それ以前に君とはタイマンでスポーツやりたくないからパス」
 ハ「?!!!」
 プ「右に同じく……かな」
 パ「貴様となんぞ、誰がやるか」
 ハ「ア〜ウチっ!!!」
 このメンバーでは当然こうなる。しかし諦めきれないハリトーは他に相手してくれそうな相手、つまるところ気絶したリーズ以外で自分と勝負できそうなのはレムしかいないので、そちらの方を見るが、レムはすでにシューティングゲームの前から姿を消していた。その隣のUFOキャッチャーの前で目を輝かせ、獲物を狙っているレムを見つけ、さすがのハリトーも彼に声をかけるのを諦めた。
 サ「ラケット多めに借りてきてくれてることだし、折角だから僕とやってみないか、プス?」
 プ「いいよー、やろっか」
 ハ「(がーんっ!!!!)」
 あっさり決まった対戦にハリトーはショックを受け、その場に崩れ落ちる。アホか、とそれを一蹴したパズは、他にすることもないのか、試合の得点係に自ら収まった。(なんにしろ暇)
 ハ「台空くまで暇なんだぜぃ……。! そだ!レッスーなら俺っちと一緒に遊んでくれるは……ず……?」
 コーナーをぐるっと見渡したハリトーは、目当ての人物が見つけられずに口を閉じる。どこにもレスの姿がない。一体どこに行ったのかと、コーナーを出て旅館のロビーに目をやったハリトーはそこの一人掛けソファに座っているレスを見つけて近寄っていった。あわよくば後ろから驚かせてやろうと思ったのだが、近寄っていくと何やら話し声が聞こえてきた。いな、声はレスのものしか聞こえないのだが、どう考えても誰かと会話しているようにしか聞こえないのだ。
 ハ「……、レッスー?」
 ス「はい?」
 嫌な予感がしたハリトーがレスに声をかけると、彼は珍しく反応し、ハリトーの方を振り向く。その膝には旅館の看板猫が、ゴロゴロと喉を鳴らして乗っていた。
 ハ「なぁんだぜぃ! 猫かぁ。はぁー、安心したぜぃ」
 ス「何の話ですか?」
 ハ「レッスーってばかわいんだぜぃ! 猫ちゃんとお話なんて、俺っちも混ぜてほしいぜぃ」
 途端にはぁ?という顔を、レスがする。いかに普段から嫌な顔を向けられることに慣れきってしまっているハリトーでも、それが自分に対してなのか、自分の発言の内容に対してなのかはすぐにわかる。
 ス「猫が話すわけないでしょう?(頭でも打ったんですか?)」
 ハ「え? じゃぁ誰と喋って……」
 ス「そうそう。一応先輩。うん。声でかくて煩いだろ? うん。うん。へぇー」
 ハリトーの疑問は無視して、レスは逆側へと顔を向ける。そこには一人がけのソファーこそあるものの、人らしき姿も何かがいる様子もないのだった。
 ハ「(サーっ!!!)」(血の気の失せる音)
 ス「うん。他にもあと五人いるけど……、皆それぞれめんどくさい人で……。え? ふーん……。謂うとなんだけど、趣味悪いね」
 ハ「なんの話してるんだぜぃっ! レッスー!!
 そこだれもいないじゃんっ?!!」
 ス「失礼ですよ、ハリトー先輩。折角、彼女が先輩のこと気に入ったって言ってくれてるのに」
 ハ「姿の見えない人に言われても困るだけなんだぜぃっ!! ってか、知らない人に勝手に紹介するなっ!!」
 グイッとレスの服の首をつかんだハリトーは、猫のように彼を持ち上げる。「急に何するんですか?!」と喚くレスに、珍しくハリトーが反論する。
 ハ「レッスー、もう幽霊と話すのは止めとくんだぜぃ。いくらなんでも不用心すぎ」
 ス「えっ? う~ん……、それは止めた方が……。というか、明日は明日で予定があるし(ハリトー先輩だけ別メニューというのも……)」
 ハ「ナチュラルに無視しないでほしいんだぜぃ!!(折角いい事言ってるのに!)何の話してんだぜぃ?」
 ス「この人が、ハリトー先輩とデートしたいって」
 何もない空間を指差しながら言われると、さすがのハリトーも背筋が凍ったらしく、レスを持ち上げながら固まってしまった。
 
 一方、その他五人サイドでは……
 パ「20対22でサトの勝ちだな」
 サ「やったね!」
 プ「ちぇー。結構頑張ったのになぁ」
 パ「確かにプスにしては、よく食らいついた方だったな」
 サ「マッチポイント取ってから、あそこまで追い上げられるとは思ってなかったよ」
 プ「そ、そうかなぁ(エヘヘ)」
リ「だからハヤシじゃないって!!」(ガバッ!)
 談笑していた三人の隣で、変なセリフと共にリーズが勢い良く起き上がった。どうやら気がついたらしく、キョロキョロと辺りを見回している。
 サ「やっと起きたのかい?」
 プ「なんか魘されてたみたいだけど、大丈夫?」
 リ「あ、あぁ。ここは? 俺なんでこんなとこで寝てんだ?」
 パ「記憶ないのか?」
 サ「まぁ、この際その方がいいよ。また気絶されたら面倒だし」
 リ「? サト、お前の持ってるそれ」
 サ「ん? あぁ、卓球だよ。お前もやってくれば?(好きだろ?)」
 リ「やるやる! で、相手は?」
 プ「僕とサトは今やったばかりだし、パズは?」 
 パ「こいつとやるメリットがない」
リ「それ、俺とやっても勝てないって意味か?(笑
お前運動音痴だもんな」
 パ「ふん! 好きに言え」
 サ「安心しなよ。ちゃんとお前の相手はとってあるから♡」
 そう言ってリーズから目を離したサトは、コーナーの入り口近くにいるであろう人物へと皆の視線を促す。が、そこに目当ての人物の姿はなく、その奥、なぜかロビーの方から歩いてくるハリトーに目を丸くした。その手には非常に不機嫌になったレスが、背中をつままれた猫のように収まっている。
 サ「……珍しい組み合わせだね」
 プ「ハリトー、レス。何してたの?」
 ハ「レッスーてば、また向こうで幽霊と会話してたんだぜぃ(汗」
 ス「幽霊とは思わなかったんですよ。だって、別に血まみれでもなんでもなかったし。(外傷がないと分かりにくいんです)」
 リ「幽霊?」
 パ「なんでもいいが、トラブルを起こしてくれるなよ、馬鹿共が」
 ハ「人をトラブルメーカー的な扱いすんなだぜぃ、骸骨野郎」
 リ「幽霊?」
 みるみるうちに青ざめていくリーズを見て、プスはパズを引き離し、サトはハリトーに向かい、「ほら、ハリトー、君達の番だよ!!」と卓球のラケットを差し出した。
 ハ「んおぅ! 待ってました!! やろうぜぃ! リーズ!!」
 サ「ほら、リーズもラケット」
 リ「ん? あ、あぁ。でも今幽霊ってぃ」
 ハ「逃がさないぜぃ、対戦相手(と書いてパートナーと呼ぼう)!!! いざ、尋常に勝負だぜぃ!!」
 リ「んぁあ? 誰がパートナーだ?!! いいじゃねぇか、やってやるよ!! 俺の豪速球見て逃げ出すなよ!!」
 ハ「んよぅし!! 俺っちのサーブからなっ!!!
 受けてみよっ! 俺っち必殺! 玉葱バウンド球!!!」(ぱこーん)
 リ「変なネーミングつけて打ってくんな! 普通のサーブじゃねぇかっ!!」(ぱこーん)
 ハ「うぬぅ! ならばこれだ!! 『ネギ民は森の妖精! 玉ねぎの香りスライスっ!!』」(ぱこーん)
 リ「だぁかぁらぁ、やめろ!!!第一、『ネギ民は妖精じゃねぇ! 害獣だろうがスマッシュっ!!!!』」(ぱこーん)
 ハ「『害獣じゃねぇ!! 俺のペットだっ!!』」(パコーン)
 リ「『あんなもん、飼うなっ! 迷惑だろがっ!!!』」(バコーン)
 サ「まぁ、これさせてればおとなしくなるだろ」(笑
 途中から必殺技の名前だとかどうでも良くなって会話しながら豪速球を打ちあう様は、プロの卓球選手も真っ青だろうなと、見ていたメンバーは思った。
 レ「よーぅ。相変わらず、あいつらはこういうことになると熱くなるな」
 プ「レム?! どこにいたのさ? 姿が見えないから探してたんだよ?」
 レ「わりぃわりぃ。ついUFOキャッチャーに夢中になっちまってさ」(苦笑
 パ「貴様も大概だな」
 サ「てか、その戦利品の山どうするんだよ? そんなに持って帰れないだろ?」(全てからっぽになったUFOキャッチャーの台(五台くらいある)を指差して)
 レ「持って帰らなきゃいいんだろ?  旅館にいる子供にでも配ってくるさ。それに俺は今日の晩お守りだし(ボソボソ)あー、そだ、レス。これやるわ」
 ス「? ボール?」
 レ「看板猫と仲良くなってただろ?」
 ス「そうですね。ミーちゃんが喜びます」
 パ「なんでもいいが、あのバカも起きたことだし、ここにいる必要性もないんじゃないか?」
 随分と暇だったのか、パズが苛立たしげにそう言う。そうだなと、時計を確認したメンバーは「じゃぁそろそろ、温泉行きますか(笑」という、サトの一声で温泉に向かうことにした。
 プ「あの二人には言わなくていいのかな?」
 サ「いいの、いいの。満足したら、いくらあいつらでも風呂くらい入りに来るよ」
 未だに豪速球を打ち合い続ける(ラリーがまだ続いてた)二人をよそに、残る五名は温泉へと歩き始めるのだった。
******
広い大浴場、キレイな景色の露天風呂、奥には木製のサウナ室。これだけでも旅館に来ただけの価値はあると言えるだろう。ちょうど、露天の真上にまで来ていた月を見上げつつ、のんびりと湯に浸かる。
 サ「あの二人、置いてきて正解だったなぁ」
 プ「う~ん。二人には悪いけど、それは言えてるかなぁ」
 パ「静かなのが一番だ」(うんうん)
 レ「……(部屋帰ったあとも静かにしててくれればいいんだけどな)(苦笑)」
 モクモクと上がる湯気。少し熱めのお湯が体を温め、程よい風が体を冷やし、普段重労働をして酷使している体を癒やしてくれる。全くもって、温泉とはいいものだなぁと、全員が思っていた。 
 パ「ふぅ。さて、レム。さっさと出て、あのバカが帰ってこない内に、寝てしまおう。むしろ、部屋から締め出すべきだ」
 レ「おいおい。それはちょっとやりすぎだろ?(苦笑) そんなことしたら、ハリトーが怒って部屋のドア叩き潰すかもしれないだろ? そうなったら困るのは俺達だし」
 パ「知ったことか。それに奴のことだ。そうなったらそうなったらで、他の部屋に行くだろう」(むしろ行け)
 サ「おいおい。聞いてれば勝手なことばっか言ってくれてるね? 僕らの部屋はもう二人で満杯だよ? こっちにだって図体デカいのがいるんだからさ」
 プ「(遠回しにリーズがディスられてる……)(汗」
 パ「はん。それなら、部屋を交代してやろう。デカイ部屋が必要だと言うのならな(笑 俺が荷物くらい一瞬で移動してやる。面倒なのが三人、纏まっていた方がこちらも助かるしな」
 サ「おかしいなぁ? 聞き間違いかなぁ? 面倒なのが三人って聞こえたけど、まさか僕のこと入れた? ねぇ? 僕のこと入れたんじゃないよね?」
 パ「毎度毎度、変な薬作って人を巻き沿いにするやつが面倒でなければなんだと?」(ハンッ)
サ「そんなら、常不機嫌な顔して場の空気ぶち壊す上に、上司の顔色ばっか伺ってる奴だって、十分面倒だと思うけどね」(イラッ)
 プ「ちょっ、ちょっと二人共……、止めなよ(汗」
 本格的に口喧嘩を始めた二人に挟まれ、プスは交互に二人を宥めにかかるが、ヒートアップした二人の怒りは収まらない。あちゃー、と苦笑して見ているだけのレムにプスがSOSの目線を送る頃には、二人は同時に立ち上がり、揃ってサウナの方に歩いていってしまった。どうやら、我慢比べで勝敗をつけようと言う了解があの二人の中で成立したらしい。残されたプスは、はぁとため息をつくと、諦めてのんびり湯に浸かっているレムの方へと近づいた。
 プ「はぁ。もうあぁなっちゃったからには仕方ないけど……。どうして手伝ってくれなかったのさ?」
 レ「んー。あぁ、悪い。出だし遅れたら、口出しするタイミング逃してさぁ。……ごめん。ほんとはあの二人喧嘩していなくなれば、少しは安心できる時間が増えるかと」
 プ「……、レムってさ、たまに腹黒いとこあるよね?」
 レ「俺にとっては、この旅行の間安心して寝れるかどうかはかなりの死活問題なんだよ」(あの二人と同じ部屋になった時点で!!)
 プ「まぁ、それはそうだよね(汗 ! なら、どうしてもやばくなったら、僕らの部屋くれば? 僕とレスだけだと、ちょっと部屋のスペース余ってるし」
 レ「! いいのか?」
 プ「だって、あの二人喧嘩し始めたらもう部屋の外しか逃げ場ないじゃない? さすがに夜は冷えるし、外の廊下なんかにいたら風邪ひいちゃうよ?」
 レ「さすが、プス! 恩にきるよ!(これで問題解決だー!(泣)」
 プ「そだ。レスの意見、聞いてなかった。ねぇ? レスもそれでいいよね? あれ?」
 喜ぶレムの後ろに顔を向けたプスはそこにレスの姿がないことに、目を丸くした。てっきりそこにいると思っていたのか、レムも振り返り、目を丸くする。というか、今までずっと
 レ「……あいつ、いたっけ?」
プ「……脱衣所の前までは一緒にいた気がしたんだけど……」
 レ「その後は?」
 プ「……見てないかも(温泉楽しみすぎて)」
 レプ「「……??……」」
 二人が揃ってクエスチョンマークを浮かべていると、湯気の向こうに人影が見えた。レスかな?と二人が近づくが、そこには誰もいない。ただ、その湯気を払った先にある鏡に、鮮やかな浴衣を着た女が写っている以外は。
 レプ「「……」」
 二人は一斉に後ろを振り返る。誰もいない。再び鏡を見ると、女は二人にほんの少し笑いかけて、それからスゥーと消えていった。
 レプ「「……!!?!!……」」
 二人は同時に目をこすり、三度鏡を見る。もう自分たち以外は写っていない。
 サ『霊感ある人と長く一緒にいると、霊感移るらしいよ?』
 サトの言葉がフラッシュバックして、背中を冷たいものが走っていった。
 プ「い、い、今のって……、ゆ、ゆゆ、ゆーれ」
 レ「言葉にするな! 余計怖くなるだろ? まさか、移るなんて」
 プ「! そういえばさっきハリトーが、レスがまた幽霊と話をしてたって……」
 レ「えぇ?! そ、そんでどしたんだよ?」
 プ「よくわかんないけど、レスも相手が幽霊だってこと、気付かず話してたみたいだったよ? そこをハリトーが止めに入ったみたいで」
 レ「おいおい、まさかさっきの幽霊! レスのこと探してるんじゃ……」
 プ「え、えぇえ?! だっ、だってそんな、話しただけなのに?!」
 レ「幽霊ってのは、自分の姿が見える奴見つけると、ついてまわるって聞いたことがある。そんで、隙見てどっかに連れ去っちまうって……」
 プ「も、も、もしかしてレスが消えたのって?!」
 レ「とりあえず探すぞ!」
 二人は急いで温泉を出、浴衣を着る。その間にレスに電話を入れるが繋がらない。
 レ「ともかくまずは部屋に行ってみて、それから館内だな」
 プ「わ、分かった! レスーっ! 電話出てよ~!」
 暖簾を上げ、二人が脱衣所から出たその時だった。
 ス「? レム先輩、プス先輩。早かったですね」
 目の前の休憩スペースで、マッサージチェアに座り、いつの間に着替えたのかジャージを着て、手には本とフルーツオ・レのパックを持ったレスがそこにいた。
 レ「……お前、今までどこに?」
 プ「……携帯は? 電話したのに……」
 ス「……え? ……すいません。携帯、置いてきちゃいました。さっきまで、客室でシャワー浴びてたので」
 レプ「「……」」
 ス「……?……」
 ゴチンっ!!!
 ス「あいたっ! ??????」(頭殴られた)
 レプ「「何も言わずにどっか行くなっ!!」」(心配したんだぞっ!!!)
 ス「……す、すいません」(殴られるとは思ってなかった)
 普段あまり怒らない二人から、同時に頭に拳骨を入れられ、レスはできたたんこぶを抑えつつ素直に謝った。
 レ「たく、マイペースなのが駄目なわけじゃないけど、一言言ってくれよな? ホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)は仕事の基本だぞ!」
 ス「……申し訳もございません」
 プ「また幽霊とどっか行っちゃったかと思って、ほんと心配したんだよ!」
 ス「すみません。……、でもなんで幽霊が出てくるんです?」
 レプ「「さっきから、それとばっかり話してるからだろっ!!」」
 ス「うっ……。気付いたらそうなってただけです……よ?」
 プ「風呂場で僕らも幽霊見ちゃってさ〜。怖かった〜。もう一人で温泉入りにこれないよ」
 レ「まぁ、あれだ。もう朝風呂しかないな(笑」
 ス「先輩方も幽霊見えるんですか? (なら言ってくれればいいのに)」
 プ「……今日初めてなったんだよ。(君のが移ったみたいとか言ったら凹みそうだもんなぁ)」
 レ「それにしても、レス。お前、どした? その顔の絆創膏」
 顔の中央、鼻筋の上くらいに貼られた絆創膏を指差し、レムがレスにそう尋ねると、レスは目に分かるくらい暗い顔をした。
 プ「……なんだか、猫に引っかかれたような傷が見える気もしないではないんだけど……」
 ス「いや……、そんなことは……」
 レ「今のうちに正直に言っとけ。看板猫に何したんだ?(今ならまだ一緒に謝ってやれるから)」
 ス「……いえ、ちょっとその……。洗ってあげようとしただけ……です」
 レプ「まぁ、自業自得かな」
 ス「うっ……。まさか、こんなことでみーちゃんに嫌われることになるなんて(泣)」
 レプ「(泣くのそっち?)」
 レ「ったく。人様の家の事情もあるんだから、勝手にそういうことしたらだめだぞ? (あとでフロントで謝っとくけど) お前も大概、トラブルメーカーだなぁ(猫もだけど、幽霊もそうだし)」
 ス「?!!」
 プ「まぁ、レスは僕らと一緒にどっか行ったりするのも初めてだし、どうすればいいのか分からないってのはあるかもね。 ?」
 ス「だから僕なんか一緒に行かない方がいいってあれほど言ったのに(ブツブツ) マサが交流のために行けとか(ブツブツ)荷物まで勝手に準備してさ(ブツブツ)先輩達に迷惑かかるのなんて明らかだったのに(ブツブツ)トラブルメーカーとか(ブツブツ)もうダメだ。もう先輩達と一緒にいられないよ(ブツブツ)合わせる顔がないもん(ブツブツ)」(ドヨ〜ン)
 レプ「(めんどくさいな、この子っ!!!)」(一気に根暗モードになっちゃった)
 自販機横の隅に、こちらに背を向けて体育座りし、ブツブツとネガティブなことを呟くレスに、レムとプスは苦笑いした。確かに来ない方が良かった(面倒事という意味で)かもしれないと、思ったのは秘密である。
 レ「ごめん、ごめん、レス。俺が言い過ぎた。お前だって好きで幽霊呼び寄せたわけじゃないもんな(猫は違うけど)」
 ス「……そうです。猫は違いますけど(ほんとすみません)」
 プ「なんにせよ、あとでもっかい旅館の人に謝りに行こうね。(生徒的な扱い)あとさ、さっきから気になってたんだけど……、なんでレス、ジャージなの?」
 ス「?」
 レ「別にいいんじゃね? 寝間着みたいなもんだろ?
 しっかし、ジャージ姿がしっくりくるな、お前」(でもどっかの学生みたいだな(笑))
 プ「違うよっ!! 旅館に来たら、浴衣でしょ?! 部屋に浴衣置いてあるんだから着なきゃ!!」
 スレ「「(なんか女子みたいなこと言い出したぞ、この人)」」
 プ「なんだよー。僕の言ってること間違ってる?」
 ス「いえ……。なんというか……」
 レ「プス、これ以上女子化したくなかったら、諦めろ」
 プ「なんだよ、それっ?!」
 折角なんだし、着なきゃ損だよっ! 
 と駄々っ子のように喚き散らすプス。ある意味、旅行に来たからこそ、見られる場面なのかもしれない。
 ス「あの、プス先輩。俺が浴衣着ないのは、単純に寒いのと、あと、極力肌を出したくないんですよ(浴衣って、首周りとか胸元とか空くじゃないですか)」
 プ「上着貸してもらえばいいじゃないっ!! 首元はタオルかけとくとかっ!! 何紫外線気にするおばさんみたいなこと言ってるのさ! それに、そもそも温泉にも入ってないじゃない! 折角温泉来たのに!」
 ス「いや、それは……傷跡とか見られたくないですし(ごにょごにょ)」
 レ「別に強制することでもないだろ、プス。それに、レスが浴衣着ても大して珍しくもないだろ? ほぼウェン先生とおんなじ顔だし、普段から和服のあの人見てたらそうでも」
 プ「レスとあの人は違う人でしょ? 全然別格だし、そもそもジャージで温泉街とか情緒ないよっ!! ねっ? レス、一片でいいから浴衣着てみてよ。そんでちょっと温泉街見て、帰ってきたら着替えてもいいからっ!!」
 ス「うっ……、えー……っと……」(涙目で見られて顔面真っ赤、且つパニック)
 レ「(墜ちたな、レス……(哀れな奴))」
 逃げられないようにと、ジャージの袖を掴まれ、涙目になったプスにそう詰め寄られるレスを見て、レムは胸の中で合掌した。
 
 その後三人は、温泉街へと足を運び(結局レスは浴衣を着せられた)、情緒たっぷりの雰囲気と町並みを一頻り満喫した後旅館へと戻った。まだ他の四人は部屋に戻っておらず、そのままラッキーとばかり、レムは部屋で一人寝ることになり、レスとプスも明日に備えて寝ることになったのだった。
 その頃の四人は……
 ハ「『いい加減、空振れよ! 終わらねぇんだぜぃっ!球!!!』」
 リ「『なんで俺が空振らなきゃならねぇんだ! お前が空振れ、よっ!!』」
 サパ「……!!!……(誰か止めに来てっ!!)」
 ラリー地獄とサウナ地獄に呻いていた。
                                           一日目 終了 二日目に続く
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