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紅露と黒巳と紫陽花のオリジナル小話不定期連載中
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久々すぎて、管理ページに何度も入場拒否された。もう一日過ぎてもいいやってふてくされてたらやっと入れた。どうもネットには嫌われている感があるなぁ、私は。

 
ってわけで、一応一日すぎちゃったけど、置きに来た父の日特別編の続き。ただし、中編の下だがな。最後のおちはまだかけてません(えっ) まぁ、どうにかするよー。明日もまた仕事だけど、息抜きにポチポチやってやるさー。



「全く、本当呆れた義親子ね。お互い、もっと素直にならなきゃだめよ、レス先生」
「……あぁ、でも」
「最初なんですから、少しぐらい高価なものをあげた方がいいですよ。さすがに、マサ先生が可愛そうですし」
「まぁ、それ以前に教える本人がちゃんとした情報を伝える努力が必要だと思うけどな」
「初めての父の日かぁ~。そういや、マサ先生の様子が最近おかしいってユウイ先生、はしゃいでたよな」
「だぁ~ってさ。マサったら、面白いんだもん。普段見ないカレンダーの紙をめくって、難しい顔しながら「父の日」の日付睨みつけてるんだよ? 最高だと思うでしょ」

 岩山雑貨店を一度後にした五人は、何故か一人増えていたが、商店街から少し離れた小さな公園でアイスを頬張りながら口々に呟いていた。ユウイの一言に、他生徒達は確かに面白そうだと賛同の声を上げるが、一人、レスだけは苦い顔をしてそのユウイを見つめていた。

「マサはねぇ、普段いじめる側なだけに、そうやってそわそわしている所を誰にも見られたくないんだけど、そういう時だけはお得意の感知能力もお粗末になるのか、全部筒抜けなんだよね。それを一生懸命隠そうとして隠しきれてない。そのぎこちない感じが、僕は最高に面白いと思うんだけど……。 レス? もしかしてこの話やめた方がいい? 正直、義父のそういう話されてて恥ずかしいとかある?」
「……いや……、その前になんでユウイ先生がここに? あと、もう一つ。どうして、俺がアイス奢ってるんですか? しかも自分の分はないし」
「まぁまぁ、そんなのどうでもいいじゃない☆ ちなみに、レスが自分のアイス買えなかったのは、僕が無駄に高い値段のアイスを買ったからでした(てへっ) レスってば、本当にお金持ってないね」
「……一番重要なところの答えがないんですが……。(あと、そう思うんなら払わせないでください)」

 呆れ半分、諦め半分に呟いたレスは、そっと財布を開く。正直、本当にお金がない。マサにプレゼントする分はカードやらなんやらで誤魔化すことができるとしても、これは生活費としてピンチである。

「? どうした、先生? もしかして、金全部なくなったのか?」
 冗談半分に笑顔を浮かべてディアンがそう言う。レスは「うん」と一言だけ答えた。その答えに、周りの五人はさっと固まる。
「ちょい待ち。レス、ほんとにお金ないの?」
「……給料日までの生活費のことを考えると、ないに等しいですね。今月はあと十冊、本買う予定がありますし」
「本買うのを諦めろよ、そこは」
「……俺、活字中毒だから無理。食事と読書なら読書を取る」
「そこは食事を取らなきゃ駄目でしょ! お母さん、怒るよ!」
「……お母さんって?」
 ちゃっかり割烹着に早着替えして、そう叫ぶユウイにレスは一応突っ込んでみる。突っ込んだ所で、小さな上司の三文芝居が終わらないのは目に見えたことではあるが、そこはなんとなく突っ込まなきゃ駄目だろうという気遣いである。案の定、ユウイはどこからともなくしゃもじを取り出すと、「あなたがそんな不健康なことするから! お父さん、心配で禿げてきてるんだからね!」と、台詞を叫ぶ。叫ぶと同時に、しゃもじでレスの頭をパシパシ叩き始めた。
「いたたたたっ!」
「この本の虫! 引きこもり! 親不孝者!」
「ゆ、ユウイ先生! やり過ぎですよ!」
「いや、もういいよ、デビ。この人、楽しんでやってるから止めても無駄だ」

 手にしていた財布でしゃもじ攻撃を防ぎながら、唯一止めに入ってきてくれたデビにレスはそう言う。ほかの三人はというと、また始まったという顔をして、気にする様子もなくアイスを食べ続けていた。

「まぁ、何にせよ。レス先生? お金ないなら、貸してあげてもいいですよ(にっこり)」
「「「(出た、悪魔の微笑み)」」」

 隙を見て、ユウイのしゃもじ攻撃を避け、殆ど同じ背丈の上司からしゃもじを奪おうと奮闘しているレスに、そうレイから提案が出される。その子悪魔のような微笑を、主人公三人は「悪魔の微笑み」と名づけていた。ようは、それだけ後が怖いのである。

「……いや、お前から借りるのは後々が怖いから止めとく」
 無論、レスもそのことは重々承知しているので、彼は彼なりの即答を返した。そしてまたも、降りかかってくるしゃもじ攻撃を避けるためそちらに気を移したその時だった。
 グイッと彼の片手は誰かによって引き寄せられ、その手に無理やり何かを握らされる。レイがにっこりと、また悪魔の微笑みを自分に向けているのが目に入り、レスは自分の手が握っているものへと目を落とした。
「……え? 何で一万リン?」
「利子二倍返しで返してくださいねv もちろん、お礼はそれ以上でもいいですよvv」
「……いやいや、借りないって言ったよね?」
「借りなきゃさっきの話、マサ先生に言いますよ? 適当に流してたなんて知ったら、マサ先生、どんな顔するかしら?(笑)」
「……それは脅迫か? 残念だが、そんなことはマサにはすでにお見通しだ。そもそも、俺、やる気ないのがデフォルメだから」
「あ~ら、なら全校生徒に、レス先生が職員室の机にエロ本隠してることばらす?」
「!! ちがっ、あれはゼノが……」
「でも、どうせ一緒になって見たりするんでしょ? 先生ってば意外にむっつ」
「わー! わー! 借ります! 喜んで利子二倍返しさせてもらいます!」
「……それだけ?」
「……さ、三倍で勘弁してください」
「ん~、ちょっと不服だけど、レス先生からはそれ以上搾り取れそうにないわねぇ。まっ、今回はそれで許してあ・げ・るv まいどあり~vv」

 見事なレイの誘導(脅迫)に、すっかり置いてけぼりの主人公三人は、うわ~と恐怖の色を顔に浮かべる。それと同時に、いつもならかわいそうに見えるレスには白い目を向けてしまう三人だった。

「先生、あのオッサン(ゼノ)に影響受けすぎるなよ?」
「お前があんなになったら、俺は本気でお前のこと軽蔑するからな」
「先生、公共のルール分かってますよね?」
「お前等まで! 違うよ! 僕、そんなの見たりしてない!(泣)」
「これだから、君は駄目なんだよ、レス。 こういう時は胸張って、「健全な男子ですが、それが何か?!」ぐらい言わなきゃ(笑)」
「……(泣)」(もはや何かを言うどころじゃない)

 いつの間にか、お母さんモードも解けたユウイがケロリとした顔で言う。「そこは上司として注意した方がいいんじゃないですか?」とデビの質問が飛ぶが、ユウイは平然とした顔で、「あれぐらいの年の子なら普通だよ。むしろ、レスが普通の子だと分かってちょっと安心した」とにっこりした笑顔を返した。「見てないのに……」と、レスが涙目になりながらいじけていた時だ。
「お、いたいた! 先生!」

 曲がり角を曲がり、大声で手を振りながら庚申タクミが現れたのは、そんな状況の中だった。いつもの赤い鉢巻に、両手首に黒のリストバンドをつけ、ラフなジャージ姿での登場である。
「あっ、タクミ~。よくここが分かったね」
「そこで花火さんに、幸薄そうな銀髪の奴が買い物しに来なかったか聞いたら、快くここだって教えてくれました」
 楽しそうに笑顔でタクミはそう言うと、「よっ! 久しぶり!」と後ろにいたディアン達にも声を掛けた。
「元気してたか?」
「それなりに!」
「お前、相変わらず元気だな、ディアン! あれ? レスの奴の姿が見えませんけど? てか、なんでディアン達が?」
「僕達、さっき偶然レス先生に会って。僕達も買い物中だったので、合流したんです。レス先生なら、あっちの端でいじいじしてます」
「うおっ!」

 デビがそう言って指差した先を見たタクミは、公園の一番隅でいじいじと地面に円を描いているレスを見つけて、思わず声を上げた。なんであんなことにといった顔に、ユウイが「まぁ色々あってねぇ☆」と笑顔を向けた。その後ろでレイも意地悪い笑顔を浮かべているが、タクミはそれには気付かない。とにかく、彼はレスに用があるので隅まで行くと、ずるずると引きずるようにレスを連れ戻ってきた。

「ったく、なんで買い物しててこんなことになるんだよ? なんだよ、何泣いてんだ?」
「……タクミ、僕、エロ本なんて読んでないよね?(泣)」
「何の話?!」
「僕の職員室の机にあるエロ本は! ゼノの奴が勝手に置いてるだけだよね?(泣)」
「? え? 何、お前もしかして間違って読んだのか?」
「!  もう死んでやる!」(わーっ)
「えぇー?! ちょまっ! 分かった! 分かったから! 一度、落ち着け! なっ?」
「「「「(レス先生が壊れた……)」」」」
「(レスがパニクルなんて珍しー☆ 後でマサに見せてあげよっとv)」

 いつもは無表情な教師の異常な混乱具合に、唖然とする生徒達だった。一方で、上司はそんな面白い状況を携帯ビデオに収めつつ楽しんでいたのだが、当の二人がこれを知る由もない。結局、タクミがレスの無実を証明するまで、彼の混乱は収まらず、気がついた時にはすでに夕刻だった。
「もう、レス先生ったら、そんなに泣かなくてもいいじゃないですかっ! 先生がおじ様みたいに、好色じゃないことは皆分かってますよ!」
「……すまん」
 レイの言葉に、フードを深くかぶりながらレスはそう謝罪した。さすがに恥ずかしいのか、泣きはらした目を隠したいのだろう。
「まぁ、ゼノの奴と一緒にされたくないっていう、レスの気持ちも分からなくはないけどなー」
「タクミは似たようなもんじゃない?」
「えぇ?!」
「そんなことより、プレゼント買わなくていいんですか?」

 デビの声で正気に戻った大人達はどうしようかと首を傾げた。約束の日曜はもう明日である。さすがに手ぶらで帰っては、あのツンデレな父親はヘソを曲げるだろう。う~んと悩む大人達をよそに、自分が買わなければいけないことなどすっかり忘れたディアンが、「そもそも、先生は何を買う気だったんだよ?」と泣きはらした顔を隠そうとしているレスを見上げながら言った。

「ハナビさんの店に行ったのは正解だと思うけど。マサ先生の好きなものってなんだよ?」
「……それ言われると、俺も何を買う気だったのか分からないな。……、何買うつもりだったんだっけ?」
「お前、もう少し計画を持って行動しろよ。今まで何やってたんだ?」
「……適当に見て廻ってた」
「エヘン。そのために僕が来てあげたんだよ☆」
 まかせなさいとばかり、ユウイは胸を叩くと、意気揚々と先に歩き始めた。

やりたい放題のあの人と意味があるのかわからないその弟子登場。さてはて、本当にプレゼントは渡せるのかってか、買えるのか。そしてキャラ崩壊しかけている根暗先生は、どうして本編では動いてくれないのでしょうか。うん、私のせいだね。どうにかするよ。 次回で完結させます。
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