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紅露と黒巳と紫陽花のオリジナル小話不定期連載中
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 なんか書きたいな-、と思ってるんですけど、話が考えられない。ので、書きたいとこだけ書いてみた。折角なので載せてみます。

 こないだはじめて大阪城行きました。随所で使われている石材が最早岩、っていう大きさですごかったです。権力を誇示する目的なのでしょう。恐れ入りはしないけどすごいとは思う。
 お堀でかもが戯れているのを見ていたら、一緒にいた子に突然「黒巳ってかもに似てるよね」と言われました。かもって、初めて言われました。かもねぎ的なかもじゃないですよね?なんで鴨。
 今までたとえられたことのある動物→猫・小熊(子供の頃)、仔犬、モルモット、うさぎ、そして今回鴨。
 なんだかだんだん弱くなっている気がする。そして基本簡単に持ち上げられてしまうものなのですが。言われてみても自分ではなんで?というものばかりで、人から見えている自分というのはある意味興味深いです。お互いに全く同じ見方はできないからこそ。

「あれ?おまえって料理できたよな?」
 ぎくり、と向坂の顔がこわばった。その横顔を、すでにエプロンを身につけていた八十嶋がきょとんと見詰める。妙な空気に織部は首を傾げた。
 向坂が首をねじって八十嶋を窺うと、八十嶋はぱっと笑顔になった。
「なあんだ。それならそうと言ってくれればいいのに。さっちゃんのことだからどうせできるってなったらプロ顔負けにできるんだろ?私のご飯じゃ物足りなかっただろうに。得意な顔して任せとけとか言っちゃったじゃないか。はずかしい」
「ちがう!」
 いつも通りへらへらと笑ってみせる八十嶋と対照的に、向坂は妙に焦った顔をしていた。
「ん?織部くんの勘違いで、やっぱできないってこと?」
「え、でも…」
 くるりと見返られて、戸惑った織部ははっきりとしない言葉を口の中で呟く。
「―勘違い、じゃ、ない。できるよ、たしかに。でもそれは…」
 目を逸らせて、言葉を探る。辛そうな向坂の表情を見て、織部は罪悪感が湧いてきた。理由は分からないが、自分は、向坂が八十嶋に隠していたことを迂闊にもしゃべってしまったのだ。向坂のこんな表情は見たことがない。
「え、てことはもしかして、片付けとかアイロンかけとか、今まで私がやってた家事も一通りできたりするのか?あー、私の仕事とらないように黙っててくれたとか?そうだよなあ、さっちゃん以上にできることって多分ないもんなあ、私。―や、でもじゃあなんで…」
 八十嶋だけがひとり笑顔だ。
「君が!言ったんじゃないか!」
 八十嶋の声を遮って、向坂が叫んだ。泣きそうな声だ。
「なんでもできるより、そういう、苦手な部分があった方が安心、するって…」
 この家に来たとき、八十嶋が言ったことだ。
『もしかして家事とか苦手なのか?―へえ、なんかちょっと安心したよ。あ、怒るなよ?なんでも人並み以上にできるってなんか嫌味だろ?その点安心しちゃったって言ってんの。―かわいいと思うよ?』
 ひとりで早合点してさくさくと話を進める八十嶋に、言い出しにくくなってしまったのが最初だった。
 最初はたしかにそうだった。
『そっか、じゃあお世話になることだし、家事は私がするよ。任せとけ!とりあえず今晩は親子丼でいいか?』
 にっと笑ってそう言って、その晩食べた親子丼はすこし味が濃かった。けれどとても嬉しかった。
 また食べたくて、家事ができないということが、共同生活を続ける方便になっていた。
「気にしてたのか?いやほら、苦手なとこがあるとかわいいとは思うけど、できるならできるにこしたことはないっていうか、別にそんな気にしなくってもさ。やっぱできた方がいいことはいいよな、一人でも困らないし」
「―っだからいやだったんだ!!」
 勢いよく向坂が顔を上げた。必死な、泣き出す寸前の顔だった。そのまま一歩踏み出して、八十嶋の手首を掴んだ。
「君はひとりでも生きていけるから!私が一人でも困らないって思ったら出て行くだろう!?でもちがう!私はひとりでは生きていけないんだ…」
 握りしめた手首にすがるように力を込める。向坂の目を見返した八十嶋の顔から、一瞬笑みが消えた。それからふっと苦笑に切り替わる。
「そんなすぐにどっか行ったりはしないよ。居てくれって言うならここに居る。大丈夫だから」
「大丈夫じゃない。―だって君はひとりでも平気なんだ。もし何か理由ができれば簡単に出て行くだろう。―私は、君と一緒にいたいのに…」
 向坂は顔を伏せた。これ以上八十嶋の目を見ていると泣いてしまう。それでは完全に泣き落としだ。ちゃんと伝えたかった。わかり合えないとしても。
 八十嶋の柔らかい声が聞こえた。
「ごめんな」
 柔らかい、向坂の大好きな声だった。



 なんでも出来るけど精神的には普通のさみしがりさんと、スキルは人並みで平凡の枠をでないけど一人で生きていける心の持ち主。矢印が一方向っぽいけど、八十嶋は八十嶋なりに向坂のことが好きで、大事にしたいと思ってます。
 しかし私すれ違いもの好きだなあ。
 両想いだけどスタンスの違いが大きいのです。思い合ってるけどわかり合えない。哀しかったり淋しかったりもするけど、でも別に不幸なことではないですよね。

 ちなみに名前の読みは、織部=おりべ、向坂=さきさか、八十嶋=やそじま、です。
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